厚労省ら/12月から安全帯のJIS改定作業/フルハーネス型着用義務化に対応

 厚生労働省は、建設現場で着用する安全帯の詳細な仕様を定めた日本工業規格(JIS)「T8165」の改定作業を12月中旬に始める。同省は2020年代前半までに、高さ5メートル程度以上の高所作業では胴体部全体を支持するフルハーネス型安全帯の着用を義務付ける方針で、フルハーネス型の中でも国内で多く普及している「ももベルト水平型」と呼ばれるタイプなどの仕様を国際規格に合わせ、安全性をより高める。
 JISの改定作業は、厚労省と経済産業省、産業安全技術協会、日本規格協会、日本建設業連合会(日建連)、全国建設業協会(全建)、国内の安全帯メーカー7社などの担当者でつくる「JIS原案作成委員会」が進める。委員長には豊澤康男労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所長が就き、事務局を日本保安用品協会が務める。
 安全帯のJISは、厚労省が告示で定める安全帯の基本的な構造規格の細則となり、任意規格として運用される。フルハーネス型安全帯は欧米で広く普及しており、今回のJIS改定は、国内のフルハーネス型安全帯の仕様を国際標準化機構(ISO)が運用する規格に適合させるのが大きな狙いだ。
 具体的には、国内で市販されているフルハーネス型安全帯の大部分を占めているももベルト水平型について、ももベルトの位置を骨盤にフィットするように改善。転落時に宙づりの状態になっても、ももや胸回りのベルトがずり上がって内臓を圧迫したり、肩回りのベルトが抜けたりするのを防げるようにする。
 高さ5メートル程度以下の場所での作業では引き続き胴ベルト型安全帯の着用も認められるため、胴ベルト型の安全性能も強化。安全帯と構造物などをつなぐ「命綱」に当たるランヤードに、転落時に身体にかかる衝撃を吸収する「ショックアブソーバー」を設置することを新たに規定する方向だ。
 改定作業は1年程度かけて進め、19年1月ごろの新規格の発行を目指す。厚労省は17年度に安全帯の着用規定となる労働安全衛生規則(省令)を改正し、18年度初めごろまでに構造規格を改定する。
 フルハーネス型安全帯は胴部のほかにももや肩にもベルトを通して全身を保持する。墜落時にも自然な姿勢を保つことができ、衝撃も分散して内臓などの損傷が生じにくい。こうした安全性能の高さから欧米などでは広く普及している。
 建設現場の死亡災害では墜落・転落が最も多いが、厚労省によると、06~15年の10年間にフルハーネス型着用者の死亡事故は確認されていない。一方、胴ベルト型着用者の死亡事故は、宙づり時にベルトがずり上がって胸などを圧迫されたことなどによって6件起きているという。

(日刊建設工業新聞様より引用)