厚労省/山岳トンネル工事労災防止指針改正/断面50平米以上で切羽監視者専任配置

 厚生労働省は18日、山岳トンネル工事の掘削最先端(切羽)での岩石落下(肌落ち)で発生する労働災害の防止対策ガイドライン(指針)を改定した。掘削断面積がおおむね50平方メートル以上の工事を対象に、施工業者の中から切羽の状態を常時監視する専任の「切羽監視責任者」の配置を原則にする。断面積60平方メートル以上の工事では、比較的安全な部分断面掘削工法の採用を求める。
 同日付で労働基準局長名で山岳トンネル工事の官民の受発注機関や建設関係団体に通知した。
 改正指針では、道路トンネルで2車線以上に当たる掘削断面積の工事を対象に、施工業者の中から元請・下請に関係なく、作業中の切羽の状態を常時監視する専任の切羽監視責任者の配置を原則にする。一方、断面積おおむね50平方メートル以下の工事では、掘削作業主任者が切羽監視責任者を兼任できると明記した。
 断面積60平方メートル以上の大断面工事では、ベンチカットと呼ばれる部分断面掘削工法を原則にする。ベンチカットは、岩盤斜面が階段状になるように少量の掘削を行ってから上下段を段階的に爆破する施工方法で、掘削1回当たりの断面積を小さくできる利点がある。
 地山の状態が悪い場合は、核残しと呼ばれる掘削工法を採用するのが望ましいと明示した。核残しは、掘削進行方向に対する切羽の垂直面の中央から下方向にかけての地山を残し、周辺部分の掘削を先行させる方法で、崩落した場合の岩塊体積を減らせる利点がある。
 改正指針では、掘削経路上に遮水層・帯水層がある場合、水抜きボーリングや薬液注入工法を検討する必要性も明示した。地山の層が切羽と平行になっている場合、地山にボルトを打ち込んで切羽を安定させる鏡ボルト工法も有効と指摘している。
 厚労省によると、山岳トンネル工事の切羽ではここ数年、肌落ち災害が毎年数件発生している。山岳トンネル区間が長いリニア中央新幹線の工事が本格化し始めている中、改正指針の順守によって肌落ち災害を防ぐ狙いがある。

(日刊建設工業新聞様より引用)