原子力機構、清水建設/大深度地層処分場向け高水圧湧水抑制技術開発

 日本原子力研究開発機構(原子力機構)と清水建設は9日、大深度地下に建設する高レベル放射性廃棄物の地層処分場向けに、岩盤の亀裂から出る高水圧の湧水を抑制する技術を開発したと発表した。岐阜県瑞浪市に深度500メートルまでの研究坑道を掘削する工事で試行し、岩盤の透水性に合わせてグラウチング材料を使い分けたほか、グラウチングを掘削前後の2回行うことで湧水量を大幅に低減した。
 ◇掘削前後にグラウチング
 道路トンネルなどの地下構造物を建設する場合、施工の安全確保の観点などから構造物周囲の岩盤の透水性を低下させ、空洞内への地下水流入量を抑制する対策を取る。グラウチングはその方法の一つで、岩盤の亀裂にセメントなどの溶液を注入することで水を流れにくくし、坑道に流入する水を抑制する。
 高レベル放射性廃棄物の地層処分場は、深度300メートル以深に建設することが法律で定められており、通常の地下土木構造物より深部の高水圧下での湧水抑制技術を確立することが、地層処分事業の実施で重要な課題の一つとされる。
 そこで、原子力機構の東濃地科学センターは、清水建設・鹿島・前田建設JVが施工を担当する瑞浪超深地層研究所の研究坑道掘削時に、亀裂性岩盤の花こう岩を対象とした湧水対策技術の開発を進めてきた。
 先行ボーリング調査で換気立坑の掘削時に、多量の湧水の発生が予想されたため、深度200~500メートルまでを掘削する間にグラウチングを実施した。深度500メートルの研究アクセス南坑道では、11~14年にプレグラウチングを行い坑道を掘削後、比較的湧水量が多い区間(約16メートル)では、坑道外側の範囲も対象にポストグラウチングを行った。
 対象区間の湧水量は、グラウチングを実施しない場合の予測値の日量1380立方メートルに対し、プレグラウチング実施後は約30分の1の50立方メートルになった。さらにポストグラウチング実施後は15立方メートルとなり、グラウチングを実施しない場合の約100分の1まで湧水量を低減できた。
 ポストグラウチングでは、材料にセメントより浸透性に優れた活性シリカコロイドの使用と、清水建設とライト工業の特許保有技術「複合動的注入」の適用が効果的ということも確認した。
 新技術は、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業のほか、湧水抑制の要求が高い一般的な土木事業にも適用可能で、湧水に伴う排水処理費の削減につながる。

(日刊建設工業新聞様より引用)