回転窓/作業の労力と重み

 設計関係者が怒っていた。地方自治体の担当者が、軽い気持ちで追加の頼み事を連絡してきた。やらなくても済む作業ではあるが、上司への説明のためにやってもらいたい。そんな話だった。だが、その作業を真剣にやろうとすると100万円を超すコストがかかる▼限られた人員で仕事をしているので、頼み事に対応していると本来進めるべき作業への労力がそがれてしまう。それは本来の発注者である市民にとって不利益になるのではないか-。あえてそう苦言を呈したという▼自治体に勤める人から、小さな施設を自分たちだけで設計しようと挑戦した話を聞いた。そうした経験があった方が、成果品の良しあしを判断するレベルが上がると考えたからだ▼しかし部下が途中で音を上げてしまい、実現には至らなかった。失敗談だが、その過程で、受注者がどれだけの労力をかけているかを実感できたのではないか。それは無駄ではないだろう▼誰かの作業の積み重ねで日々の暮らしは支えられている。一つ一つはわずかでもそれぞれが重みを持っている。受け手と送り手が尊重し合わなければ持続可能性など生まれない。

(日刊建設工業新聞様より引用)