国交省/自治体建築事業の円滑実施へ手引骨子案/発注フロー各段階で課題と対策整理

 国土交通省は、12日に同省で開いた有識者会議に、地方自治体の建築事業の円滑な実施に向けた手引の骨子案を提示した。公共建築事業の現状や特徴を踏まえ、発注フローの各段階での一般的な業務内容を整理。その上で、段階ごとに指摘されている課題と、自治体(発注者)に求められる対応を明示した。7月に開催予定の次回会合で手引書案を示し、取りまとめを行う。
 学識者や自治体関係者でつくる「地方公共団体における建築事業の円滑な実施に向けた懇談会」(座長・大森文彦東洋大教授)の第3回会合で、これまでの議論を踏まえてまとめた手引の骨子案を提示。一般的な業務内容を、▽企画▽基本設計▽実施設計▽積算▽施工-の5段階で整理した上で、各段階での課題とその対応を明記した。
 公共建築事業を円滑に進めるためには、適正な「事業費」「事業期間」「品質」を確保することが最も重要だと指摘。事業の進ちょくに伴い変動しやすい事業費は、事業の早い段階から網羅性や妥当性を確認するとともに、変動が生じた場合は追加的な予算措置が必要になるとした。
 企画段階で見積もった工期や事業費が、精度の高いものでないとの認識が不十分なままで設計条件になってしまっているとも指摘。事業部局は発注部局などから技術的助言を受けながら機能や見積もり根拠を整理し、住民や議会などに丁寧に説明することが重要だとした。発注部局には事業部局への支援とともに、建築政策や現場条件なども加え設計業務の発注条件を適切にまとめることを求めている。
 基本設計の精度を高めることが手戻りの防止には有効だとし、発注部局には適切な価格や履行期間での発注と、適切に業務を履行できる設計者の選定を求めた。基本設計段階で通常要求される精度を超えて概算工事費を算出する場合は、適切な設計報酬の確保も必要だと指摘した。実施設計段階で、基本設計以降に状況が変化して建築物の機能などに変更が生じる場合は、改めて発注条件を整理し提示することも明記した。
 積算段階では、予算規模と設計内容がかい離した際に工事費を予算内に収めるため実勢価格を無視した厳しい見積単価が設定されているとの指摘があることを踏まえ、こうした単価設定は避けるよう求めた。施工段階で受発注者間で積算数量の食い違いを解消するには、17年度に直轄営繕工事に導入した「入札時積算数量書活用方式」が有効だとした。
 国交省は今後、会合での意見や指摘なども踏まえて内容をブラッシュアップ。事例なども盛り込んだ手引書案を作成し、次回会合で提示する。

(日刊建設工業新聞様より引用)