国交省/3Dデータ利活用方針策定/CIM介して各段階で活用、仕様標準化推進

 国土交通省は3次元(3D)データの利活用方法や拡大方策をまとめた「3次元データ利活用方針」を策定した。直轄工事で3Dデータの普及を図るとともに、工事以外でも利活用を促進するのが目的。CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を建設現場の生産性向上の「エンジン」とし、3Dデータを生産プロセスの各段階に流通させて利活用を推し進める。
 利活用方針は、「目的」「国交省の取り組み状況-CIM活用モデル事業での効果と課題」「3Dデータの利活用方針」「データの利活用に向けた取り組み」「推進体制」「スケジュール」の6章で構成した。
 建設現場の生産性向上を図るには、3Dデータを測量・地質調査などの段階から導入し、その後の設計、施工、維持管理の各段階で情報を流通・利活用することが不可欠と強調。3Dデータによる防災・減災対策のシミュレーションや、フロントローディングの考え方に基づく施工性や維持管理を踏まえた設計など、さまざまな利活用が考えられるとした。
 受発注者双方が情報を共有しながら進めることで、合意形成の迅速化といった効果が一層期待できるとも指摘。事業実施時の効率的な情報共有の方法も検討し、利活用を推進するとしている。
 3Dデータの普及拡大に向けて仕様の標準化を進める。17年度の橋梁と土工に続き、18年度はトンネル、ダム、河川構造物(樋門・樋管)でデータの標準的な仕様を策定。ファイル形式にも国際標準の適用を順次進める。
 既存の2次元(2D)データも活用しつつ3Dデータを各段階で流通・利活用するため、直轄業務・工事の成果品(2D図面など)を納める電子納品保管管理システムと連携し、関係者が効率的に情報を利活用できるシステムを検討。18年度までにシステムの仕様などを固め、19年度にもシステムの構築に入る。
 既存データの3D化も推進。19年度までに電子納品保管管理システムに格納されている2D図面を活用して既存構造物などを効率的に3D化する方法を決め、3Dデータへの転換を順次進める。
 公共事業に関するデータのオープン化にも取り組む。国交省が持つデータと、国や地方自治体が所有する地形・地盤・気象・交通情報などのデータを連携利用することで、さまざまなモデルの構築が可能になる。G空間情報センターが保有する情報などを併せて活用し、さまざまな利活用モデルの実用化を図る。
 3Dデータの共有方法や利活用ルールについては、「i-Construction推進コンソーシアム」と「CIM導入推進委員会」が連携しながら継続的に議論する。さらに民間企業と大学が連携した研究体制に国も参加。産学官の連携によって、オープンデータ化など3Dデータの利活用が促進される環境整備を目指すとした。
 《利活用の主な内容》
 ■測量・調査段階
 △建設生産プロセスで一貫して3Dデータの利活用を図るため、測量段階から3Dデータ化
 △河川氾濫シミュレーションなど各種シミュレーションに活用
 △地盤情報は国や地方自治体、民間企業が可能な限り広い範囲で収集・共有し、利活用できる仕組みを構築。地下工事での安全性や効率性の向上を期待
 ■設計段階
 △合意形成の迅速化を図るため住民説明や関係者間協議などに可視化された3Dデータを活用
 △設計の手戻りを減らすため、鉄筋同士の干渉部分を自動で判別する干渉チェックに活用
 △数量の自動算出による積算の効率化、ライフサイクルコストを考慮した多様な設計手法の開発、工期の自動算出による週休2日を前提とした工期設定に活用
 ■施工段階
 △「ICT土工」の導入を推進。17年度に「ICT舗装工」や「ICT浚渫工」の取り組みを開始
 △17年度からECI方式を活用し、CIMモデルを設計・施工の一気通貫で活用するCIM試行事業を実施
 △工事発注の際に総合評価方式・新技術導入促進型の活用などにより、3Dデータの活用による施工、監督・検査の効率化・高度化を図るための技術開発を展開
 △仮設・施工計画を可視化し、最適な人材や資材の確保へ活用
 ■維持管理段階
 △ロボットや3D計測機器を活用し、点検を効率化。3D化された施工段階の出来形計測データを活用することで、構造物の変位把握を効率化
 △施工時の機械の稼働履歴データ、資材の製造・供給元や品質のデータ、発生土・搬入土の移動履歴データにも3D位置情報を付与し、CIMモデルと連携させて保管。変状発生時や災害被災時の原因究明や復旧対策を効率化

(日刊建設工業新聞様より引用)