地方自治体/技術職員減少で発注体制維持に危機感/災害時対応、既に困難の声も

 地方自治体の多くが技術職員の減少で発注体制の維持が困難になると危惧していることが、国土交通省の調査で分かった。職員だけでは発注事務が困難とする都道府県は現在14団体だが、10年後は22団体に上昇。小規模市町村で発注量が増加する災害時対応が困難との回答もあった。体制補完や共同発注など実情に応じたきめ細かな対応策の検討が求められている。
 国交省は地域インフラの維持管理状況や公共工事の発注体制など自治体の実態を把握するアンケートを2月に実施した。対象は都道府県と地方部の10道県管内の49市町村。市町村は、大規模(人口約5万人以上)、中規模(約5000人~約4万人)、小規模(約500人~約2万人)に区分して分析した。
 都道府県は、現在の発注体制について「既に発注関係事務の運用に支障」(4団体)と「職員のみではやや困難のため一部事務を外部に委託」(10団体)が計14団体。これが10年後だと、「職員のみでは困難。可能な限り事務の外部委託を検討」(6団体)と「職員のみではやや困難のため一部事務の外部委託を検討」(16団体)が計22団体に増える。
 今後の職員減に伴い民間活用の必要性は高まるとの意見もあるが、「インフラの維持管理の責任の重大さを考えると民間委託は最小限にとどめるべき」「技術職員に専門性が身につかない」などと指摘する声も少なくない。
 市町村では既に技術職員がおらず、事務職員だけで発注関係事務を行っている団体もあった。普通建設事業費約22億円を事務職員4人で発注する中規模の市や、約6億円を2人で発注する小規模の村などがあり、「(事務職員だけなので)専門的な判断が難しい場面に遭遇することもある」などの声が寄せられた。
 規模が小さい自治体ほど将来への懸念が切実になっており、「最小限の人数で対応しているため災害時などの一時的な工事発注量の増加に対応できない」「技術職員の年齢構成に偏りがあり高齢職員の大量離職に備え、若年職員への技術継承が課題」などの意見が出た。調査した市町村の約8割が民間の企業や団体と災害協定を締結していたが、小規模自治体ほど減少する傾向が現れた。
 発注体制を補完、または補完を検討している団体は少なくない。橋梁点検など技術力を求められる維持管理業務で民間の専門性を活用したり、職員の再任用や県の外郭団体の活用により発注関係事務に対応したりしている。「技術力を要する分野では近隣自治体との共同発注の必要性が高い」など、地域インフラの適切な維持管理のため共同発注をさらに進めたいとする声もある。一方で、「受発注者間でおのおのの役割や公物管理に関する責任を適切に分担することが必要」との指摘もあった。

(日刊建設工業新聞様より引用)