大林組/IoT・AI活用のビル管理システム実証/利用者の快適性追求、最適に制御

 大林組は28日、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を使い、最適な建物管理を実現するビルマネジメントシステムの開発に着手すると発表した。各種センサーで集めた情報や建物利用者の快適感など多様なデータをクラウド上に蓄積。AIで分析することで、多方面の要求に最適解を導き出すことができるようにする。同社が設計・施工を手掛けた東京都内のテナントオフィスビルに導入し、9月に実証運用を始める。
 建物利用者の快適性や利便性を高めるため、建物内外に温度や照度を計測するセンサーやカメラなど、さまざまな情報機器を設置するケースが増えている。ただ、取得したデータは空調、照明、セキュリティーなどそれぞれの閉じられたシステムの中で利用されているのが現状という。
 そこで同社は、IoT技術を駆使し、センサー情報などをクラウド上でオープン化することにより、データを相互利用することを計画した。
 建物利用者のスマートフォンやパソコンから温熱や光環境などの好みを申告してもらうことで、一人一人の快適感を把握。AI技術により、これまで見えていなかった個々の快適性を満たす最適な建物制御を可能にする。長く使うほど自動的にチューニングされ、より最適な環境に近づいていく学習制御も実現する。
 同社は、建物利用者の健康増進活動や環境配慮行動に働き掛け、快適、健康、安全・安心を実現する建築計画、運用・管理手法を「ウェルネス建築」と呼び、実現に向け必要な技術開発に取り組んでいる。
 今回のシステムはウェルネス建築の一環で、ウェルネスの観点から建物利用者に情報を発信する。室内の温熱環境・自然光利用度の見える化や建物利用者一人一人の滞在時間の「見える化」により、建物利用者へ環境配慮行動や健康増進活動を促すきっかけを与える情報などを提供する。
 クラウド上に多様な情報を集約することにより、建物管理者の利便性も向上させる。照明器具や空調機、ポンプ類など設備機器は、エネルギー消費量や運転効率など複数のデータを多面的に解析することにより、劣化状況や更新時期の予測が可能になる。故障する前にメンテナンスや更新を行う予防保全の精度を向上させることができるという。
 実証では、照明・空調のエリア制御など同社が持つさまざまな省エネ技術・ノウハウを多数採用したビルをフィールドに、快適性やウェルネスの効果を検証。同時に、これまで個別システムの連携が取れていなかったことによるエネルギーの無駄をどの程度まで減少させられるかについても確認する。

(日刊建設工業新聞様より引用)