奈良市東向商店街協組/アーケード正面デザインコンペ/最優秀に村上康史氏

 奈良市東向商店街協同組合は22日、日本建築家協会(JIA)近畿支部の協力を得て同商店街の近畿日本鉄道奈良駅前と三条通り入り口のアーケード正面デザイン(サイン)を決める公開コンペで、村上康史氏(村上康史建築設計事務所、東京都杉並区)の作品「大(おお)らかな木の軒下がつくる奈良の玄関口」を最優秀に選んだ。奈良の寺院や町家にある大きな軒下をモチーフにしたデザインで、多くの人たちを奈良に迎える新たな不燃木材の玄関口を提案。組合員と審査員の投票で最多21票を獲得した。
 村上氏は、商店街北端の奈良駅側(東向中町)と、南端の三条通り側(橋本町)の表情を変えた。
 奈良駅側は奈良に到着した人たちを商店街へと誘導するため、サイン西側の出隅を斜めに切り取った形状を採用。これは端部に向かって反り上がる寺院の軒下空間をイメージした。
 一方、深い軒が作れない三条通り側は奈良町家に見られる「うだつ」のようにアーケード既存梁を覆い、屋根を掛けることで門型の軒下空間をつくる。うだつ状の袖壁は商店街のサインとして利用できる。訪れる人を木の軒で迎え入れる仕組みとした。
 組合員に求められて、あいさつした村上氏は「自分の事務所を立ち上げて間もないが、(自分の設計活動を)この事業にかける気持ちでコンペに応募した。選ばれた以上、何十年も使われるしっかりしたものをつくる。奈良の玄関口になるので、責任を持って取り組む」と決意を表明。
 審査委員を代表し三井田康記畿央大教授は「良い作品が集まったので選ぶのに苦労した。審査員は審査して終わりではなく、完成後も見ていく必要があると思っている。この作品は一番いい奈良の顔になると思う。ぜひいいものにしてほしい」と総評を述べた。
 インタビューに応じた村上氏は「選ばれてうれしい。組合の皆さんからいただいた叱咤(しった)激励に応えられる奈良のランドマークをつくる」と語った。
 東向商店街は同市旧市街を代表する商店街で老舗が並び、終日観光客でにぎわっている。ところが1984年に完成した現在のアーケードは32年が経過しサインデザインも劣化。今回、サインを奈良の玄関口にふさわしいデザインに改めようとコンペを企画。コンペには120人が参加登録。9月15日には58作品が寄せられ、今月5日の1次審査で公開審査対象の10作品が選出された。
 審査委員は三井田教授、井上久実JIA近畿支部長、長坂大京都工芸繊維大教授、倉本宏奈良まちづくりセンター理事、中川佳英子奈良デザイン協会会長、中山曜誠東向商店街協同組合理事長。
 今後、11月から18年2月にかけて実施設計などを行い、同4月中に施工者を決める。同8月15日の完成を目指す。
 最優秀を除く入選者は次の通り。敬称略。
 ▽入選=山本光良、本多健▽佳作=比護結子、山道拓人、荻原雅史。

(日刊建設工業新聞様より引用)