所有者不明土地/公共事業分損失、40年までに6900億円に/増田研究会試算

 ◇北海道本島迫る720万ヘクタール発生
 産学官の有識者らでつくる「所有者不明土地問題研究会」(座長・増田寛也東大公共政策大学院客員教授)は26日、2040年に全国で所有者不明の土地が北海道本島の面積(約780万ヘクタール)の9割超に当たる約720万ヘクタール(16年推計約410万ヘクタール)に達し、経済的損失が累計で約6兆円に上るとの試算をまとめた。経済的損失のうち、公共事業を行っていれば得られたはずの利益は約6900億円に上る。
 研究会が定義する所有者不明土地は、不動産登記簿などの所有者台帳で所有者がすぐに判明しなかったり、判明しても所有者に連絡がつかなかったりする土地。
 6月に公表した16年時点の全国の所有者不明土地は九州本島(368万ヘクタール)を上回る約410万ヘクタール。今回の試算では、研究会で調査した将来の土地の相続未登記率や国立社会保障・人口問題研究所が推計した将来人口を踏まえ、このまま政府などが対策を講じなければ40年までに約310万ヘクタール分の所有者不明土地が新たに発生すると予測している。
 所有者不明土地による経済的損失も17~40年の累計で約5兆9100億円に上ると試算。現在の発生・増加ペースなどを考慮すると、16年に約1800億円だった年間損失も40年には約3100億円にまで増えると予測している。
 40年までの累計損失のうち、道路や港湾整備などの公共事業を行っていれば得られたはずの利益が約6868億円に上ると試算。内訳は、国の公共事業分が約約1352億円、地方自治体の公共事業分が約5516億円になるとした。
 一方、16年に発生した経済的損失のうち、公共事業分の損失は約209億円に上ると試算。内訳は、国の公共事業分が約41億円、自治体の公共事業分が約168億円となる。
 研究会はこうした試算結果を踏まえ、12月13日にまとめる政策提言に、所有者不明土地問題の解決に向けた施策として、▽利活用円滑化に向けた制度創設▽所有者不明土地の外部不経済防止▽所有者移転の確実な捕捉▽空き地・空き家、遊休農地、放置森林の利活用▽土地所有者の責務明確化▽保有者放棄の制度化▽土地情報基盤の構築▽所有者確定作業の戦略的実施-などの具体策を盛り込む。
 政府は、所有者不明土地の活用を促す施策を来年の通常国会で法制化する準備を進めている。国土交通省は、都道府県知事の裁定で一定期間の利用権を設定し、公園整備などの公益性のある事業に活用できる制度の創設を検討している。

(日刊建設工業新聞様より引用)