日建連、じん肺訴訟原告団/初の現場視察で対策確認/飛散防止隔壁の積算対応必要

 日本建設業連合会(日建連)とじん肺訴訟原告団が17日、山梨県身延町で進む中部横断自動車道のトンネル工事の現場を視察した。両者は「じん肺ゼロ」を目指す活動と訴訟の早期和解に向け、協議会を組織している。視察には双方のメンバーらが参加。粉じん防止対策の説明を受け、安全衛生活動の現状を確認した。協議会関係者が現場を視察したのは初めて。視察後には現場担当者を交えて意見交換も行った。
 日建連と原告団は、「トンネル建設工事におけるじん肺対策協議会」を発足させ、6月に活動を始めた。19年5月までに粉じん対策の先駆的な現場の視察や、改善事例の普及などを行いながら、裁判の早期和解につながる方策を検討する。視察は協議会活動の一環。トンネル2本や橋台などを建設する「中部横断大島地区トンネル工事」(発注=国土交通省関東地方整備局、施工=大成建設・名工建設JV)の現場を訪れた。
 原告団側は全国トンネルじん肺根絶訴訟弁護団(小野寺利孝団長)の水口洋介事務局長、須納瀬学事務局次長、石田直道全国トンネルじん肺根絶原告団事務局長などが参加。日建連からは谷田海孝男常務理事、佐藤恭二安全委員会衛生対策部会長などが同行した。一行は発破掘削を行っている第2トンネルに入った。
 「地山の判定を変えておらず、ほぼ踏査のパターン通りに掘れている」。小柳司大成建設JV作業所長は、現場の状況をそう説明した。坑内では、粉じんを切羽の先端で集める吸引捕集タイプの集じん機や、発破に伴う粉じんが後方に広がるのを防ぐ封じ込め用バルーン(隔壁)などを運用中。散水を小まめに行いつつ、常駐させている路面清掃車を活用して粉じんやほこりの抑制を徹底している。
 作業員らの防護マスクは個人ごとに保管し、たまった粉じんの清掃日を定めて適切な維持管理に努めている。坑口には先端のノズルの方向を変えられる送風機を設置してある。暑い日もマスクを外さないようにするための配慮で、夏季には坑内を冷やすクーラーを運用した。
 視察を終え、水口事務局長は「この断面にしては大きな集じん機だった」などと感想を述べた。原告団からは封じ込め用の隔壁について、標準積算に組み込むよう求める意見などが出た。意見交換には、大成建設JVの協力会社の関係者も参加し、下公康弘・成豊建設作業所長は労使協定に署名する労働者側代表者の選定方法なども説明した。谷田海常務理事は、官民で構築中の建設キャリアアップシステムの機能を紹介し、「入退場管理なども行いやすくなる」と早期の運用に期待を寄せた。
 日建連は国交省と厚生労働省の後援を得て、10月を「粉じん障害防止対策推進強化月間」に定めている。今年で20回目で、粉じん防止対策の重点的な推進を会員企業に促している。

(日刊建設工業新聞様より引用)