日建連市民現場見学会-300万人達成への足跡・下/受け入れ側も誠意と覚悟

 ◇節目はあす、新国立競技場で
 2005年に参加者100万人達成の記念イベントを行ったのは、東京都内で整備が行われていた首都高速道路中央環状新宿線の「代々木シールドトンネル工事」の現場。11月18日の「土木の日」に開かれ、あいさつした当時の日本土木工業協会(土工協)の葉山莞司会長は「多くの人に真の建設産業、公共事業の姿を見に足を運んでもらいたい」と述べた。
 100万人達成を機に同年12月、土工協は山本卓朗副会長広報委員長の下で見学会のテーマを「防災」、キャッチフレーズを「くらしを守る国づくり」とした「第2ステージ」へと移行させた。09年1月には、見学会の原点を意識し、「来て、見て、感じてみよう!土木の魅力」をキャッチフレーズとした「第3ステージ」を開始。このころから科学技術館の「サイエンス友の会」など見学会に定期参加する民間団体が増えた。
 200万人達成は10年8月。同年の土木の日に栃木県の「湯西川ダム本体建設工事」の現場で記念イベントが開かれ、参加者が骨材にコメントを書く企画では「技術者バンザイ」のメッセージが寄せられた。当時は「コンクリートから人へ」をうたい公共投資を抑制した民主党政権下。主催者代表の中村満義土工協会長は「ダムを考えるきっかけにしてもらいたい」と期待を込めてあいさつ。葉山前会長は「満足することなく続けたい」と語り、村重芳雄副会長広報委員長は「200万人は通過点」と新たな決意を示した。
 11年4月、土工協、旧日本建設業団体連合会、旧建築業協会が合併し、日本建設業連合会(日建連)が発足した。野村哲也初代会長の下での初年度事業計画は、直前の3月に発生した東日本大震災への対応が第一。その上で社会資本整備の推進や技能者の確保・育成などとともに「社会の理解促進」を掲げ、発信力を強化する方針を打ち出した。当時、白石達広報委員長は「見学会などを充実させたい」と表明。公共発注機関との意見交換会では、大田弘土木本部副本部長が「見学会は構造物の自慢ではなく、目的、何が変わっていくのかに重きを置くことが大事」と訴えた。
 サンダルで参加した学生を建設技術者となった先輩が叱るなど受け入れ側も誠意と覚悟を持って臨んできた。見学者を随時受け入れる日建連事務局の姿勢は今も続く。「BCS賞」受賞作品など、各支部は建築関連の見学会の充実にも努めており、会員企業の施工現場では担当者が見学会のアイデアを日々練っている。
 宮下正裕広報委員長は「女性の活躍を促進したい」と話す。生産年齢人口が減少し、担い手確保が大きな課題となった中村満義前日建連会長の下では、建設業で働く女性を女子小中学生と保護者に見てもらう「けんせつ小町活躍現場見学会」が15年に始動。今夏は384人が参加し、石井啓一国土交通相も視察した。
 「公共性の高い建物や工事を見てもらえるだけでありがたい。安全や工程への配慮は必要だが、もっと見てもらえる工夫をしたい」。担い手確保を念頭に山内隆司会長は今後も見学会を積極的に開いていく姿勢を示す。
 25日には、急ピッチで工事が進む「新国立競技場整備事業」(東京都新宿区)の現場で300万人目を迎え入れる。
 (編集部・溝口和幸)

(日刊建設工業新聞様より引用)