日建連市民現場見学会-300万人達成への足跡・上/情報発信し理解得る

 ◇熱意と責任が支えた
 日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が行ってきた「市民現場見学会」の参加者が近く300万人に達する見通しとなった。建設業や社会資本整備に対する市民の理解促進を目的に、合併前の旧日本土木工業協会(土工協)が「100万人の市民現場見学会」として2002年にスタートさせてから15年。300万人への足跡を振り返った。(編集部・溝口和幸)
 土工協が市民現場見学会の実施に踏み切った背景の一つに公共事業費の削減がある。当時、銀行の不良債権処理が課題となるなど不況が深刻化し、雇用対策ととともに民需を誘発する効果のある財政出動に期待が寄せられていたが、一方で公共事業による社会資本整備への風当たりは強かった。
 そこで土工協(梅田貞夫会長)は、社会資本整備の促進を要望する活動と併せて、経済活動や安全・安心な暮らしを支える道路やダムなどの社会資本の必要性を国民に知ってもらう新たな広報活動に力を入れる必要があると判断。02年に広報委員長に就いた葉山莞児副会長(現大成建設特別顧問)の下で、第1弾として「100万人の市民現場見学会」を実施することを打ち出した。
 より多くの人に現場を訪れてもらいたいという思いを込め、3年で100万人を達成する目標を設定。一般市民、現場周辺の住民、地域の学校、教育関係者や経済界幹部といったオピニオンリーダーなどに参加を積極的に促し、機関誌「CE建設業界」やホームページを通じて情報を提供しながら、見学の申し込みを随時受け付けた。
 1回目の見学会の舞台となったのは、さいたま市のさいたま新都心で進んでいた「さいたまスーパーアリーナ」の関連工事。教員や技術者など44人の参加者に、JR埼京線をアンダーパスする地下道を造る「埼京線北与野・大宮間高速埼玉東西連絡道新設工事」などを見学してもらった。
 土木工事のスケールの大きさを感じてもらう以上に、利便性の向上など社会資本整備の効果と必要性を理解してもうのが狙いだった。普段は目にできない空間で行われている工事を紹介する分かりやすい資料を提供し、所長ら現場のスタッフが取り組みを丁寧に説明。社会資本整備や建設業についての疑問に答え、意見を真摯(しんし)に受け止めようと、参加者と意見交換する場を必ず設けた。「短い区間なのに工事費が高いように感じる」。参加者のこうした疑問には、営業中の鉄道への影響を避け、地下水位を変えずに工事を行うための技術とコストを説明し、理解を求めた。
 「葉山さんを見て当社も頑張ろうと思った」と当時を語るのは、則久芳行三井住友建設代表取締役会長。旧住友建設の幹部として目を光らせていた隣の橋梁工区から、見学会の旗振り役を担いつつトンネル工事の現場を熱心に訪れていた葉山氏を見て、現場の情報を意欲的に発信しようと考えたという。
 竹中康一竹中土木社長は「社会資本整備の効果を発信するために、発注者の方々の協力も頂けた」と振り返る。会員企業や関係者の熱意、社会資本整備を担う責任に支えられた見学会は回数、参加者を順調に増やし、3年目の05年11月に100万人を達成した。

(様より引用)