未収家賃の累計30億円

毎年約3億円の新規滞納が発生


公営住宅の家賃滞納問題が浮かび上がっている。
21日、大阪府への取材で、府営住宅の家賃未回収金の累計が平成27年度で約30億円にのぼることが分かった。


都道府県が運営する公営住宅は、所得の低い層を対象とする賃貸住宅だ。
一般的に、高齢者や生活保護受給者の割合が多いという。

大阪府が管理する公営住宅は330団地12万7000戸ある。
家賃未回収額の累計は、平成27年度で約30億円余り、25年度が約31億円、24年度が27億8300万円、11年度が約28億円と、改善が見られない状況だ。
滞納家賃を回収しても、その年新たに滞納する額が約3億円あり、累計額はいっこうに減らない。

府営住宅の管理は大阪府住宅供給公社(以下、公社・大阪市)に委託しているが、入居者の滞納督促は府の住宅まちづくり部で行っている。
家賃を2カ月滞納すると電話で督促を始める。
長期間滞納している入居者を中心に直接訪問する。
6カ月目に入ると催告書を送り、滞納者が30日以内に家賃を支払わなければ退去させる。
府では滞納者が退去した後の新しい住所は把握していないため、転居や死亡を含めて行方が分からならくなり、回収業務は難航しているようだ。

22年度から、家賃回収を強化するため、弁護士法人に成果報酬で、退去済み滞納者への回収業務を委託している。
府の職員が直接回収していた時期は退去済み滞納者の家賃回収率が0.6%程度だったが、委託後3~4%に上がり、一定の成果はあるようだ。


都営は滞納15億円超


東京都営住宅は26万戸あるが、平成27年度の家賃未回収額は15億2426万3000円だった。
平成22年度の約24億円以降、毎年約1億円ずつ減少している。
戸数の大きな変動はない。
都は管理を委託している東京都住宅供給公社(以下、公社‥東京都渋谷区)と連携し、督促を強化している効果だと話す。

家賃滞納期間が3カ月までは公社が文書や電話、訪問で督促する。
3カ月以上経つと、都が督促と退去の申し立てをする。
滞納分の分割払いにも応じるが、支払いができないと裁判を起こし立ち退きさせる。
今年度からは、退去済みの滞納者に対し、裁判所に支払い督促の申し立てをする法的措置を新たにとっている。

自治体が運営する公営住宅に入居する場合、保証人が必要になる。
敷金は3カ月分預かっているが、家賃債務保証会社の利用ができないため、入居者もしくは保証人が家賃を支払わなければいけない。

国交省によると公営住宅の入居応募倍率は24年度で7.5倍と高い水準を維持している。
今後、世帯収入が低い高齢者がさらに増加することから、受け皿となる公営住宅はますます足りなくなってくる。
そのため、国では高齢者や障がい者などの生活弱者が住宅を確保できる『新たな住宅セーフティネット』制度の整備を進めている。
公営住宅の入居希望者が賃貸住宅を借りることになるため、家賃滞納や孤独死など貸主のリスクが高まることが懸念される。

(全国賃貸住宅新聞様より引用)