東京都ら/新宿駅直近地区再整備方針たたき台/超高層ビル群との融合など9項目整理

 東京都と新宿区は、国や鉄道事業者らと共に検討を進めている新宿駅とその直近地区を対象にした再整備方針のたたき台をまとめた。世界有数のターミナル駅でありながら、駅の入り口が分かりづらく、歩行者の動線も交錯し、周辺建物との調和も不十分といった課題の解決に向け、9項目の方針を整理した。駅前広場や周辺建物も含めた大規模な再編を目指し、具体像の検討を加速させる。
 たたき台では、▽誰もが利用しやすく一体性のあるターミナルへの再編▽分かりやすく楽しめる公共的空間の形成▽新たな魅力を生み出す都市機能の導入▽超高層ビル群との融合-などを目指す方針が確認された。
 6月に都と区が外部有識者らと設置した「新宿の拠点再整備検討委員会」の会長を務める岸井隆幸日本大学理工学部教授は「歴史的経緯を見ると、各鉄道会社が鉄道乗り入れ時にビルを造り、それが結果的に駅が見えない状況を生んだ」と新宿駅が抱える課題を指摘する。
 検討委は、新宿駅を中心とした新たな街づくりの指針「新宿の新たなまちづくり~2040年代の新宿の拠点づくり~」(6月公表)を具体化した整備方針の策定に向けて設置された。会合は非公開だが、現在までに2回目までの議事録が公開されている。
 この検討委で都と区は、新宿駅と駅前広場に面した建築物には築40年以上のものがある上、周辺建物が広場に対して開放的な造りになっていないなどの課題を報告。岸井会長は「周辺ビルの建て替え時期が来た今、個別の建て替えだけを考えるのではなく、各事業者が協力し駅周辺を含めた全体像を考える必要がある」と再整備の方向性を示した。
 駅を利用する事業者側からは「駅直近地区を整備した効果を周辺に波及させるステップと将来の方向性が分かりにくい。骨格と将来のつながりをもう少し議論すべきだ」(JR東日本)、「新宿駅のように多くのバス事業者を抱えている駅は珍しい。委員ではない他社の意見にも配慮すべきだ」(都交通局)などの声が上がっている。
 回遊性の高い歩行者ネットワークの構築も課題の一つで、副会長の中井検裕東京工業大学環境・社会理工学院教授は「1960年代に苦労して造られた新宿西口駅前広場を50年たって造り替えるというのは、普通の駅前広場とは注目度が異なる。大きな方向性としては、歩行者の目線に切り替える必要がある」と強調する。
 検討委の今後のスケジュールについて、都の担当者は「3回目の会合を近く開く。整備方針の取りまとめ時期は未定」と話す。再整備の具体化に向け、中井副会長は「駅ビル、広場をこれだけの規模で一体的に改造できる機会はない。景観・空間・デザインのしつらえを、公共団体だけでなくさまざまな事業者も含めて作り上げることが重要」と指摘している。
 たたき台で示されたのは次の9方針。
 ▽誰もが利用しやすく一体性のあるターミナルに再編▽分かりやすく楽しめる公共的空間の形成▽新たな魅力を生み出す都市機能の導入▽新宿の特長である超高層ビル群との融合▽回遊性を高める多層な歩行者ネットワークの形成▽歩行者優先の街づくりに向けた駐車場と駐輪場の再編▽防災対応力を備えた街の形成▽質の高い環境づくり▽エリアマネジメントによるにぎわい創出。

(日刊建設工業新聞様より引用)