東京都財務局/入札契約制度改革の検証開始/監視委、18年3月に結果報告

 東京都財務局は22日、外部有識者とつくる入札監視委員会制度部会を都庁で開き、建設工事で6月から試行している入札契約制度改革の導入効果・課題の検証作業を開始した。監視委としての検証結果を18年3月末までに取りまとめ、知事を本部長とする都政改革本部に報告する。報告を踏まえた見直しは同本部で検討し、18年度から制度改革の本格運用に移行する。
 部会の委員からは、単体とJV双方の入札参加(混合入札)を認める試行に対し、「期待された効果が見られる」との評価が出た一方、予定価格の事後公表、1者入札(参加申請時)の手続き中止、低入札価格調査の適用拡大の3方針については、より詳細な分析を求める声が多かった。
 都が、10月末までの財務局契約案件の試行状況をまとめた中間報告によると、JV結成義務を撤廃し、混合入札を適用した工事72件(開札済み43件)の参加希望者数の平均は4・8者(JV0・8者、単体4者)で、16年度にJV結成義務を課した工事の平均2・5者を上回った。単体が受注した25件のうち、中小企業が落札したのは15件あった。
 この結果に対し、原澤敦美委員(弁護士)は「中小企業の受注機会減少という懸念もあったが、良い方向へ結果が出ている。今後は大規模工事の入札で、中小企業もJVの代表者になれるよう参加要件の緩和を検討すべきだ」と指摘。小澤一雅委員(東大大学院教授)は「規制緩和で希望者数は増えた。あとは落札率との関係などを分析する必要がある」との見解を示した。
 予定価格を事前公表から事後公表に切り替えた試行に関しては、財務局案件で平均落札率94%(16年度全局契約分91・6%)、入札不調の発生率19%(同10・2%)という結果が出た。都の担当者は「施工条件などにもよるが、設備工事で不調が多い。予定価格の積算で受発注者の認識にずれがある可能性もある」と報告した。
 これに対し、仲田裕一委員(品川リフラクトリーズ代表取締役副社長)は「落札率を金額ベースで見るとどういう変化があるか知りたい。不調の発生で行政コストが増えても、それを打ち消すメリットを得ている可能性もある」とより詳細なデータ分析を求めた。楠茂樹部会長(上智大大学院教授)は「当然の効果として、100%、99%といった高い落札率での受注は減っている」と評価した。予定価格の事前・事後公表を比較し、落札決定までに要する時間を分析する必要性も指摘された。
 1者入札を即中止とする運用については、都から「件数は少ないが、中止後の再公告で工期にしわ寄せが出たケースも見られる」との報告があった。例えば、10月末までに再公告された設備業種の工事12件では、工期末日が平均で14・7日遅れたのに対し、施工期間は27・3日短くなった。1回目の入札に参加者が集まらなかった要因として都は、「手持ち工事量と発注・施工時期の関係も影響している」との見方を示した。
 小澤委員は「1者入札の中止は競争性を担保するための制度。それなら、そもそも1者入札にならないよう、発注内容を工夫するなどの手が事前に打てればいい」と指摘。楠部会長は「インフラ整備はいつまでも待てるものではない。1者入札の中止になじむものと、そうでないものはある。しっかり検証していく」と強調した。
 低入札価格調査の適用拡大を巡っては、調査対象者が落札した工事は1件もなかった。委員からは「調査はこれまで通り、厳格であるべきだ」「調査対象者による受注がないのであれば、手続き期間への弊害も考え、対象案件を減らすことも課題」「不当に安い応札は排除すべきだが、そうでないものまで排除すべきではない」などの意見が出た。
 都は各委員の意見を踏まえ、試行状況の傾向分析をさらに深める。来年1月には業界団体ヒアリングを実施する。

(日刊建設工業新聞様より引用)