東京都/入札契約制度改革で団体向け説明会開く/図面データなど「検討中」

 ◇試行目前の意見聴取に疑問も
 従来方針を大幅に転換する東京都の入札契約制度改革に対し、事業者側の混乱や困惑が続いている。都は4月27、28日に開いた事業者団体向けの説明会で新たな制度の具体的な運用方法を明らかにしたが、まだイメージ段階の内容も多く、参加者の中には、不安を抱えながらも静観に努めたり、怒りにも似た質問や要望をぶつけたりする姿が見られた。6月の試行開始までしばらくは混乱が続きそうだ。
 27日の説明会終了後、都財務局の担当者は「予定価格の事前公表撤廃に伴い、業者側の積算に役立ててもらうために導入する設計図面データの提示や積算内訳書の書式の詳細化などへの関心が強かった。JV結成義務の廃止による中小企業への影響も懸念されている」と話した。
 昨年9月に発足した都政改革本部内部統制プロジェクトチーム(PT)の外部有識者らは、2020年東京五輪の競技会場や豊洲新市場の建設工事で、1者入札や高い落札率による受注が散見されたことを理由に入札制度の見直しを決定。3月31日に工事版の入札制度改革の実施方針を公表してから約1カ月がたっている。
 説明会では、入札公告時に提供する図面データの具体例や積算内訳書のひな型までは「まだ検討中」として明らかにされず、参加者らの不安は完全には払しょくされなかった。工事の発注等級を細分化して工事規模の予測を行いやすくする方針も示したが、都が提示した価格帯のイメージには異論も出た。
 中小企業の間には、発注件数が限られた特殊な大規模工事の入札に対する疑念を理由に、外部有識者らが制度改革を主導したことへの不満もある。
 五輪施設や豊洲市場の入札で不正行為は確認されていないが、外部有識者らは「1者入札はおかしい。参加業者が応札者数の情報を把握している可能性がある」と主張。疑念が思い過ごしであることを証明できない以上、それを払しょくするために制度を変える必要があるとの認識を示している。
 世間の注目が集まる築地中央卸売市場の豊洲市場への移転をめぐる問題では、専門家会議の再招集や特命PTの新設のほか、市場関係者らとの複数回にわたる意見交換も行うなど、その対応は手厚い印象が強い。説明会である参加者は、知事が5月中旬にようやく業界団体へヒアリングすることを決めたことに対し、「そこで要望したことが試行開始までの短い期間でどう反映されるのか。方針ありきで何も変わらないのであれば、やる意味がない」と訴えた。
 財務局の担当者は「本当に多くの意見を頂いた。しっかり整理し、円滑な試行につなげなければならない」と話している。試行開始は「6月のなるべく早い時期」で調整中という。東京建設業協会(東建)の飯塚恒生会長は26日の理事会後の記者会見で、「価格競争の環境にならないか心配している。取り越し苦労であればありがたい」と状況を冷静に注視している。
 都の入札制度改革に伴う主な運用は次の通り。
 【予定価格の事後公表】
 ▽年間発注予定表への概算額記載▽発注標準金額A等級の細分化▽1日の再度入札は原則2回まで▽入札公告時の積算内訳書の詳細化▽適切な資料提示(図面、工程表、施工プロセスなど)▽不正の抑止(探り行為の抑制、情報漏えいの防止など)
 【JV結成義務の撤廃】
 ▽構成員数は原則3者以内(予定価格帯により、2JVか3JVに分類)▽中小企業を構成員とするJVへの総合評価方式での加点
 【1者入札(希望申請時)の中止】
 ▽入札公告時の明示▽中止案件は技術・地域要件などを見直して再公告▽技術提案書の提出時期見直し▽再々公告案件は予定価格事前公表
 【低入札価格調査制度の適用拡大】
 ▽調査基準額の算定式を中央公契連(中央公共工事契約制度運用連絡協議会)モデルに合わせて改定▽社会保険未加入対策の強化▽特別重点調査の失格基準化▽書類不備の失格▽工事成績による判断基準の導入▽契約後の追跡調査の厳格化。

(日刊建設工業新聞様より引用)