東京都/入札契約制度改革めぐり建設団体と意見交換/1者入札中止に見直し求める声

 ◇工事の魅力高める工夫に転換を
 東京都が進める入札契約制度改革を巡り、都と建設業関係団体が15、18日に行った意見交換で、業界側から「1者入札の手続き中止」について、試行内容の一部見直しを求める声が多く出た。技術者・技能者の手配など入札準備に要した手間を、参加者が少ないとの理由で一方的に台無しにされることに不満が募っている。1者入札の是正には、工事内容の改善や受注者への優遇措置など、工事自体の魅力を高める工夫で対応すべきだとの声もある。
 参加申請者が1者だけだった工事の入札で手続きを即中止する措置については、業界側に制度の合理性を疑問視する声があった。15日に意見交換した東京都電設協会は「発注工事の環境、施工条件、特殊な施工方法などの要因から、特定の事業者にしか対応できない案件もある」と主張。18日には東京空調衛生工業会(東空衛)の是常博会長が「昨年6月からの試行で想定外の状況を経験している」と強調した。
 既存施設の改修工事では、新築段階の施工を請け負った業者以外の参入が技術的に困難なケースもある。業界側は、参加者不足が事前に予測される案件や業種でも1者入札を一律に排除することの弊害を指摘。意見交換会の席上、東空衛は「再発注で工期は厳しくなり、施工のリスクが高まる。1者入札はなぜいけないのか、改めて問いたい」と都の見解を求めた。
 都が1者入札中止を試行した背景には、これまで1者入札となった案件の中に99%という高い落札率で受注されたものがあり、都民が不正の疑念を抱きかねないとの問題意識がある。これに対し、東空衛幹部は「隠れ談合への疑いを持っているのなら、会員企業はそうした不正をやっていない」と述べ、見直しを求めた。都財務局の担当者は「施工条件や地域要件などで特別な事情がある場合、1者入札を認める基準を今後検討する」と答えた。
 意見交換では、1者入札の是正を入札制度以外の工夫で実現できるかどうかも議論した。
 都財務局の五十嵐律契約調整担当部長は「給排水系の設備工事で参加者が少ない傾向があるが、事業者はどういう認識なのか」と質問。業界側は「職人不足のほか、工期と工事価格のバランスが他の業種よりシビアなことが考えられる」と回答した。こうした実情に加え、1者入札中止で落札決定の時期も見通せない状況では、「企業は別の工事に流れる」との声も上がった。
 外部有識者の楠茂樹上智大大学院法学研究科教授は「民間工事なら、施工者確保のため何らかのインセンティブを設けることはある。こうした知恵も本来は必要だが、公共工事には制約があり、慎重な検討が要る」と指摘。東空衛幹部は「不人気な工事でも公共のためにはやらなければならない。そのためのインセンティブであれば、説明責任を果たして都民に納得してもらえる部分もあるのではないか」と述べた。
 各団体との意見交換を終え、都財務局の小室一人経理部長は「素の言葉を多く頂いた。意見を基により良い制度を構築したい」と話している。
 次回の意見交換は24日に東京建設業協会(東建、飯塚恒生会長)と行う。設備業者とは工事の特性や経営状況などが異なるゼネコンの見解にも注目が集まりそうだ。

(日刊建設工業新聞様より引用)