東京都/東京五輪新規恒久施設、17年度内にすべて着工/労務・安全管理に細心の注意

 2020年東京五輪に向け、都が新規に整備する競技会場整備が年度内にすべて着工する見通しとなった。都が設計・施工を担う新規恒久7施設のうち、特に規模が大きい海の森水上競技場、有明アリーナ、オリンピックアクアティクスセンターの3施設は、昨年度に工費の見直しが行われたが、工期は当初計画を維持。どの現場も決して余裕のある工期ではない中、受発注者は労務・安全管理に気を配り、施工能力を結集している。
 五輪の開会は20年7月だが、19年末までには会場整備をすべて終え、本番に備えたプレイベントを行わなければならない。実質的な工期はもう2年半も残っていないのが現状だ。
 都財務局建築保全部の担当者は「五輪会場の整備は工期が厳しいといわれ、労務管理などに世間の注目も集まっている。現場には法令順守の徹底を改めて指示している」と話す。
 現時点で竣工している五輪会場は、近代五種(フェンシング)やバドミントンなどの試合で使用する「武蔵野の森総合スポーツプラザ」(調布市、11月開業)だけ。恒設の予選会場と仮設の決勝会場で構成するアーチェリー会場(江東区)は、予選会場の盛り土の1期分が終わり、現在は沈下計測を実施中だ。下期に2期工事を開始する。
 年度内に建築・設備の本体工事に着手するのは、▽カヌー・スラローム会場(江戸川区)▽大井ホッケー競技場(品川区ほか)-の2会場。工事は複数工種に分割して発注されており、既に落札者が決まった案件もある。
 施工中の残り3会場のうち、バレーボール会場などとして使う「有明アリーナ」(江東区)は9月末までの予定で杭工事を施工中。その後、基礎躯体の構築に移り、来夏ごろ大屋根架設のためのトラベリング工法に着手する。水泳会場の「オリンピックアクアティクスセンター」(同)は7月末に杭工事が終わり、基礎躯体を施工中だ。来年春~夏にはリフトアップ工法による屋根構築に移る。
 都によると、有明アリーナの1日の実作業時間(準備・後片付け時間を除く)は午前8時~午後6時、オリンピックアクアティクスセンターの場合は午前8時~午後5時とそれぞれ決まっている。今後の進ちょく状況によって作業時間が変わる可能性はあるが、周辺環境への配慮から夜間工事は行わない方針だ。
 実作業時間外の残業などの管理は工事の元請・下請各社で行うのが原則。今のところ、両施設の現場で労務・安全管理面での問題や事故は報告されていない。
 この2施設に比べ、工程管理がシビアなのが東京湾内の水路を改築し整備するボート・カヌー会場の「海の森水上競技場」。海上工事は気象の影響を受けやすい上、一般・工事用船舶の運航が交錯し、衝突などの事故が起きる危険もある。
 安全対策として都港湾局と海上保安庁は3月、東京湾内を通過する一般・工事用船舶の運航を無線通信で一体的に管理・支援する全国初のシステムを導入した。工事用船舶の船長には、安全講習会の受講も義務付け、受講者(8月3日時点)はこれまでに延べ362人に上っている。「海上工事での安全意識は着実に高まっている」と港湾局の担当者。
 海の森水上競技場の現場も、現時点で労務・安全管理面での問題や事故の報告はなく、競技コース東側の水門構築といった土木工事をメインに施工が進んでいる段階だ。

(日刊建設工業新聞様より引用)