東京都/豊洲移転・築地再開発で影響配慮に腐心/近隣施設で事業者撤退の恐れ

 東京都が、築地中央卸売市場(中央区築地)の豊洲新市場(江東区豊洲)への移転に向けた詳細計画の検討に腐心している。築地再開発や豊洲活用の内容によっては、周辺地区で民間事業者が進めるプロジェクトの計画変更、事業撤退へと影響が広がる恐れもあるためだ。既に豊洲地区で商業施設整備を予定していた事業者からは、状況次第で撤退を検討するとの意向が示されている。
 小池百合子知事は6月20日、築地市場を豊洲市場へ移転し、築地跡地は5年後をめどに再開発する方針を表明。豊洲市場は将来にわたる総合物流拠点、築地跡地は食のテーマパーク機能などを有する新たなにぎわいの場としてそれぞれ活用するとした。
 これに対し、豊洲市場の隣接地で大型商業施設「千客万来施設(6街区)」の整備・運営を計画している事業者グループ(代表企業=万葉倶楽部)が、築地再開発などの内容次第で事業撤退も検討するとの意向を都に伝えていることが分かった。
 千客万来施設の整備・運営事業者は昨年3月、都の公募で決定。当初の工程では今年1月に着工し、18年8月の「商業ゾーン」(延べ床面積1万9200平方メートル)開業、19年8月の「温泉・ホテルゾーン」(同2万2700平方メートル)開業がそれぞれ予定されていたが、市場移転の遅れで着工できない状態が続いている。
 都中央卸売市場の担当者によると「知事の方針表明以降、事業者側と何度か協議を行った中で、撤退もあり得るとの話が出た」という。
 仮に千客万来施設の事業者撤退が決まった場合、当初の市場移転計画を変更した都は、事業者側から何らかの補償や損害賠償を求められる可能性がある上、豊洲活用や築地再開発の詳細も練り直す必要が出てくる。
 この問題について、山崎孝明江東区長は11日の記者会見で、「近距離に食のテーマパークといった競合施設ができるとなれば、事業者側のちゅうちょも当然」と指摘。その上で、万葉倶楽部が円滑に事業展開していくための今後の都の対応に期待を示した。都の担当者は「事業者からは詳細を早く説明してほしいと言われている。まだ撤退が決まったわけではない」と話している。
 こうした市場問題に関連した民間事業者らへの影響は、今のところ限定的だ。
 豊洲市場に近い東京ガスの所有地「4-1B街区」(豊洲6)では、大和ハウス工業が土地を借り受け、ホテル・医療・スポーツ機能を有する複合施設(延べ約2万7500平方メートル)を整備する計画が進行中。大和ハウス工業は「スケジュール(10月着工、19年5月竣工)は公表通り。市場問題を受けて特に計画変更はない」という。
 豊洲周辺で不動産開発や街づくりを主導する東ガスは、「現時点で(千客万来施設の事業者が撤退した場合の)事業への影響は判断できない。豊洲の価値向上に寄与する都の取り組みには期待する」としている。

(日刊建設工業新聞様より引用)