東京都/鉄道新設・延伸プロの優先順位検討/多摩モノレールは箱根ケ崎方面の先行有力

 東京都は、昨年の交通政策審議会(交政審、国土交通相の諮問機関)による東京圏の鉄道整備に関する答申で、検討の深化や関係者間での合意形成などを「進めるべき」とされた6路線の新設・延伸プロジェクトに優先順位を付ける。6路線とも事業着手の時期は未定だが、都施行となる見通しの多摩都市モノレールの延伸では、北端の上北台駅(東大和市)からJR八高線箱根ケ崎駅(瑞穂町)方面まで延びるルートの先行整備が有力な案に上がっている。
 都が新規事業化を検討しているのは、▽羽田空港アクセス線新設▽新空港線(蒲蒲線)新設(矢口渡~京急蒲田間)▽東京8号線(東京メトロ有楽町線)延伸(豊洲~住吉間)▽東京12号線(都営地下鉄大江戸線)延伸(光が丘~大泉学園町間)▽多摩都市モノレール延伸(箱根ケ崎方面)▽同延伸(町田市方面)-の6路線。
 6路線を合わせた総事業費は交政審の試算で約9600億円に上り、「一遍に事業化するのは現実的に難しい」(都市整備局都市基盤部交通企画課)。優先順位を付けるに当たっては、事業費と採算性との兼ね合いをどう判断するかが課題になる。
 蒲蒲線、8号線、12号線の3路線については、それぞれ沿線自治体がつくる検討組織があり、都も参画して事業費の精査や採算性の検証が行われてきた。その結果、一定の採算性は確保できるとの結論に達している。
 多摩都市モノレールの延伸2事業は、都施行の街路事業として事業化される。都は昨年度、採算性や事業費などを精査するための連絡調整会を庁内に設置し、会合を計3回開催。本年度の初会合は9月中に開く方向だ。
 「現時点では箱根ケ崎方面への延伸が先行するとみている。延伸ルートの導入空間として活用する新青梅街道の整備が進んでいるからだ」と都の担当者。採算性の精査では年度内にも一定の成果をまとめる。
 一方、町田市方面への延伸検討ではまだルートが確定していない。担当者は「町田市方面は人口が多く、採算性は箱根ケ崎方面よりも見込める。ただ、導入区間となる都市計画道路の決定手続きには時間がかかる」と分析する。
 新規事業化が世間に受け入れられやすいのは「羽田空港アクセス線ではないか」との見解も庁内にはある。羽田空港国際線ターミナルから東京貨物ターミナル駅付近を経由し、東京テレポート駅、田町駅、大井町駅付近へと至る新路線となるため、空と陸をつなぐ広域ネットワークとしての整備効果は他の路線よりも大きいとみられている。詳細な計画検討はJR東日本が中心となって進めている。
 各プロジェクトの今後の見通しについて、都の担当者は「プロジェクトを横並びにし、どの路線をどういう形で動かすか整理を行い、最後は知事の判断を仰ぐことになる」と話す。
 8月2日で就任2年目に入った小池百合子知事。1年目は2020年東京五輪や築地中央卸売市場に関する既存計画の見直しで成果を発揮・PRしたが、これからは新規事業の検討・執行でも手腕を問われる。特に、膨大な事業費を投じる鉄道整備を巡っては、都民の理解と時勢を捉えたスピード感との両立で難しい判断を迫られることになりそうだ。

(日刊建設工業新聞様より引用)