東芝エレベータ/中国進出から20年、昇降機の更新事業拡大/需要獲得へ事業部設置

 世界最大の昇降機事業の激戦地・中国で、東芝エレベータのリニューアル事業が拡大している。1995年の中国進出から20年余りが経過し、中国事業は年間2万台を売り上げる同社の屋台骨に成長。同時に、進出初期に納めた昇降機が次々に改修時期を迎え、大きな需要が生まれている。このため同社は昨年4月、上海の現地法人にリニューアル事業部を設置。更新需要を着実に取り込む体制を整えた。
 同社は海外では中国のほか、マレーシアやシンガポール、インド、アラブ首長国連邦(UAE)など10カ国で昇降機事業を展開。日本以外ではマレーシアと中国に生産拠点を置き、新興国を中心に売り上げを伸ばしてきた。
 昇降機事業の売上高比率は、国内55に対し海外が45と海外が過半に迫る勢い。中国事業は同社の海外売り上げの8割を占めるドル箱に成長した。
 年間55万台を超える昇降機需要があるとされる中国は、世界の有力メーカーがしのぎを削る草刈り場。東芝エレベータは中国進出組の中では最後発だが、活発なインフラ投資を追い風に、上海環球金融中心などの大規模ビルや集合住宅、空港などの案件を受注し、実績を重ねてきた。
 同社は95年に上海、瀋陽の両市に現地法人を立ち上げ、昇降機の製造・販売、保守などに着手した。2008年には上海現法を中国全土をフォローする事業統括会社へと変更し、事業活動を強化した。進出から20年以上が経過し、これまで売り上げをけん引してきた新設需要に加え、リニューアル需要の波も起こり始めたことから、同社にとって中国市場の重要性はさらに増している。
 昨年には瀋陽の事業所内に、製品の開発・検証を行う「検証センター」と「高揚程エスカレーター研究塔」が完成。大型施設の建設活発化で高揚程エスカレーターの需要が高まる中、上海・瀋陽の2カ所に置いた検証施設で性能試験を行う体制を整えた。
 中国では公共投資の勢いが弱まりつつあり、本年度下期に経済成長率が鈍化するとの見方もあるが、中国国家統計局が今月19日に発表した7~9月の国内総生産(GDP)は前年同期比6・8%増と引き続き伸びている。松原和則社長は「中国では昨年、マンションなどの建設投資が落ち込み、需要が伸びなかった。一方で、病院や老健施設などは着工数が伸びており、今後の需要が期待できる」と分析。「日本国内と同様、中国でも今後リニューアルが盛んになっていく。商品のラインアップ拡充などを図り、需要を確実に取り込みたい」と強調する。
 同社広報室によると「中国政府の安全意識の高まりとともに、より品質の高い製品が重視される傾向にある」といい、求められる製品の質も変わりつつある。
 先んじて中国に進出した競合メーカーらはリニューアルの大きな波を経験済み。他社に比べ進出から日が浅い東芝エレベータは、これから同時に訪れる新設・更新の大きな需要に備えている。

(日刊建設工業新聞様より引用)