竹中工務店/超高層向け免震構造システム開発/地震対策と暴風対策両立

 竹中工務店は10日、スレンダーな形状の高層建築物に対して、地震対策と暴風対策を両立する免震構造システムを開発したと発表した。積層ゴムなどの免震機能に加え、免震装置などを製造するカヤバシステムマシナリー(東京都港区、廣門茂喜社長)と共同開発した「衝突緩和機構付きオイルダンパー」などによる風対策を併用し、耐震性と居住性を確保した超高層免震建物を可能にする。
 免震構造は、地震対策には有効だが、暴風時の揺れに対しては効果が少ない。このため、アスペクト比(建物の高さ方向と幅方向の長さの比率)が4・0以上となるスレンダーな建物では、風の影響を受けやすいため、建物全体の耐震性と室内の居住性を両立させるのが難しく、免震構造を採用することが困難だった。
 今回開発した「Tウィンド免震」は、免震構造に加え、風対策を採用。風対策は毎秒25メートル程度の日常的な強風と、大型台風並みの同43メートル以上の暴風の2段階に備えて各装置を配置する。
 日常的な強風に対しては、竹中工務店が開発したパッシブロックダンパーを免震層に、チューンドマスダンパー(TMD)やアクティブマスダンパー(AMD)を屋上に設置して対応。風による小さな揺れの際は、パッシブロックダンパーで免震層の動きをロックし、一方でTMDなどは小さな揺れにだけ反応するように設定することで、免震層とTMDが互いの効果を打ち消し合うことなく、高層部の居住性能を改善する。
 暴風対策には、衝突緩和機構付きオイルダンパーを採用する。新開発のダンパーには、ストロークが限界に達した際の金属同士の衝撃を緩和するゴムクッションが備わっており、ダンパーの破損を防ぐ。このため建物が周囲の擁壁に衝突する前に、ダンパーのストロークが限界に達するように設定することができ、大きな揺れの際の建物と周囲の緩衝を避けられる。
 衝突緩和機構は、当初からオイルダンパーに組み込むタイプのほか、既存のオイルダンパーにも設置可能なため、暴風対策を目的とした改修にも対応できる。
 同社は、Tウィンド免震を今年8月に竣工したベルヴュオフィス名古屋(名古屋市中村区)に初適用した。今後は2020年東京五輪に向けて需要の増加が見込まれる都心部のホテルや商業施設など耐震性と居住性が求められる案件での採用を視野に、20年までに5件程度の採用を目指す。

(日刊建設工業新聞様より引用)