自治体管理道路橋-50年間で修繕費27兆円に/予防保全なら15兆円/研究グループ

 全国にある地方自治体が管理している道路橋の修繕費が、今後50年間の累計で最大27・3兆円に上るとの推計結果を産学の研究グループがまとめた。修繕費の累計は、大きな損傷などの被害が出る前に修繕しておく「予防保全」の手法を採用すれば、損傷などが起きてから修繕を行う「事後保全」の手法を採用するのと比べ、半額程度まで縮減できる見込みという。
 今回の推計は、筑波大学の堤盛人教授が主導し、高知工科大学の那須清吾教授や長大の古川誠氏と共同で行った。堤氏が5日に東京都新宿区の土木学会講堂で開催される土木学会建設マネジメント委員会主催の第35回「建設マネジメント問題に関する研究発表・討論会」で報告する。
 推計の対象施設は、都道府県・政令市と市区町村、地方道路公社が管理している延長2メートル以上の道路橋(計60万橋超)。国土交通省が2014年に規定した5年ごとの近接目視による定期点検の対象とする橋梁に相当する。
 推計は、道路橋の最近の工事単価や、自治体が策定している道路橋の長寿命化修繕計画などを参考にして行った。推計した修繕費には、点検などの維持管理や耐震補強、更新・改築といったメンテナンスの取り組み全般にかかる費用が含まれている。推計の対象期間となる今後50年間の具体的な開始・完了時期は設定していない。
 推計結果を見ると、今後50年でかかる費用は累計で事後保全なら最大約27・3兆円、予防保全なら約15・0兆円。予防保全の手法で修繕を進めていけば、事後保全の手法よりも修繕費を累計で半分近い約12・3兆円分節約できる計算になる。
 修繕費の内訳を管理者別に見ると、事後保全なら都道府県9・9兆円、政令市2・6兆円、市区町村13・4兆円、道路公社1・4兆円。予防保全では都道府県6・6兆円、政令市1・4兆円、市区町村6・3兆円、道路公社0・8兆円。
 推計結果を受けて堤氏は、全国的に今後必要になる対策として、点検や診断、修繕や更新、情報の記録・活用といったメンテナンスの取り組み全般を循環的に実施・継続する「PDCAサイクル」の徹底を指摘。執行体制がぜい弱な中小規模の市町村への国や都道府県による積極的な支援なども挙げている。
 道路分野の修繕費の将来推計を巡っては、国交省も今後20年間(17~37年度)の累計で必要になる直轄管理国道の修繕費を今年初めて試算し、予防保全なら約4・2兆~約4・9兆円、事後保全では約4・7兆~約5・5兆円かかるとの結果をまとめている。

(日刊建設工業新聞様より引用)