追求-現場の働き方改革-2017日建連意見交換会・上/担い手・生産性で危機感共有

 ◇現場負担軽減、発注者側も前向き
 日本建設業連合会(日建連)が国土交通省の各地方整備局などの公共発注機関と5月11日から全国9地区で行った17年度の「公共工事の諸課題に関する意見交換会」。議題の柱に据えたのは、担い手の確保・育成と生産性向上。「今、取り組まないと将来に悔いを残す」(宮本洋一土木本部長)と強い意欲と危機感で臨んだ各地の会合を振り返った。
 (編集部・溝口和幸)
 建設現場の技能者は高齢化が進み、この先10年で3分の1がリタイアするとみられている。少子化で生産労働人口の減少も進み、ゼネコンの技術者を含めて若い人材は産業間の獲得競争が激しさを増す。安倍晋三首相は昨年9月、自ら議長を務める「未来投資会議」で建設業を名指しし、現場の生産性を2025年度までに現在より2割高めるよう指示した。
 担い手確保と生産性向上が議題の柱に据えられた背景には、こうした建設業界をめぐって官民が共有する危機感がある。23回目となった本年度の意見交換会で日建連は、深めてきた受発注者間の絆をてこに、▽業務の効率化▽工期・工程▽週休2日▽プレキャスト(PCa)工法-を切り口にして現場が直面する課題の解決に挑んだ。
 日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の調査によると、現場で働くゼネコンの外勤職員の1カ月当たりの平均所定外労働時間は土木、建築とも70時間を超す。「現場技術者の長時間労働を是正し、負担を軽減するためには書類の削減が不可欠。発注者側担当者の指示の統一も効果がある」。日建連の土屋幸三郎公共積算委員長は意見交換で発注者側にそう訴えた。
 業務の効率化に向け、日建連は▽書類の簡素化(特記仕様書の改定)・削減▽検査・立ち会いの効率化▽仕事の標準化-を求めた。中部整備局が16年7月に措置した工事書類の削減や一部検査の廃止が全国展開されたり、東北整備局が工事関係書類の3割削減を目指したりするなど、発注者側の取り組みも活発になっている。一方でゼネコンの現場サイドには依然、不必要と思われる書類の提出を求められたり、監督官によって対応が異なったりといった不満の声もくすぶる。
 北陸地区の会合(5月24日)では、北陸整備局が監督職員との「協議事項」を▽指示▽承諾▽書類提出-と分かりやすくする試行工事の実施を表明。宮本本部長は「画期的な取り組み」と評価し、以降の会合で各地区の発注者に同様の対応を求めた。工事書類を、監督と検査の二重チェックを廃止したことで4分の1に減らした整備局もある。
 一気に進めるのは難しいものの、書類の簡素化は受発注者双方にメリットがあり、複数の発注機関が書類の現状を確認する取り組みを始めている。
 検査・立ち会い、仕事の標準化の取り組みも進展しつつある。東北整備局は、カメラを利用して確認作業を受発注者が遠隔地から行う取り組みを一部で始める。品質が確かな工場から出荷される生コンの圧縮強度試験など省力化のニーズは受発注者双方に多く、品質の担保を前提にした同様の措置は他の業務にも広がりそうだ。
 東・中・西日本の各高速道路会社と日建連は、指示や対応の不統一から生じるトラブルを防ぐため、基本的な考え方を示す手引書を17年度に作る。仕事の標準化に対する受注者の期待は大きい。=2面に関連記事

(様より引用)