追求-現場の働き方改革-2017日建連意見交換会・下/PCa拡大効果を多角的に提案

 ◇ウイン・ウイン求め両輪で変革
 「ICT(情報通信技術)だけでは難しい。効くのは、プレキャスト(PCa)工法だ」。日本建設業連合会(日建連)の土屋幸三郎公共積算委員長は、今回の意見交換会で、国土交通省が取り組む建設現場の生産性向上策i-Constructionの推進と同時に、PCa工法の導入拡大を発注機関側に求めた。
 高齢技能者の離職と生産年齢人口の減少に伴い、現場は生産性の一層の向上と省人化・省力化を迫られる。政府の「未来投資会議」(議長・安倍晋三首相)も、建設現場の生産性を2025年度までに2割アップすることを打ち出しているからだ。
 PCa工法の導入拡大は、16年度の会合でも議題に上がった。冬季の施工に制約がある積雪寒冷地域の発注機関は対応に意欲的だ。国交省は、コンクリートの現場打ち工法とPCa工法の比較検討手法を確立し、17年度から全工事で比較を行う方針を打ち出している。だが直接工事費ではPCaのコストが従来工法を上回るため、発注機関は財政当局や議会に説明責任を果たすための根拠が必要になる。
 「PCa化で品質が高まるのは間違いない。耐久性が向上して維持管理コストが下がり、高所作業などが減って工事の安全性も高まる。熟練技能者に頼る部分も減る。早期開業によって経済効果が早く出る」と土屋委員長はメリットを列挙する。従来工法と比較する環境は整っており、日建連は各地区の会合で対応を要請。ライフサイクルコストに加え、早期開業など従来は数値化されていない評価指標の採用を求めた。
 「コストだけでなく全体最適が必要な時代が来る」。日建連の茅野正恭公共工事委員長は造り手が減少する将来に備える措置としても導入拡大を訴える。台和彦公共契約委員長や岡本正インフラ再生委員長は、PCa工法のコストを引き下げようと、道路路線全体への適用などスケールメッリトを引き出す提案も行った。宮本洋一土木本部長は、PCa工法について工期短縮以外の視点からの議論を要請。清水琢三土木本部副本部長は「生産性向上につながる創意工夫を価値に置き換える制度」を求めた。
 「健全な議論ができた。知恵を頂き、(比較検討の)数字を積み上げたい」(丸山隆英国交省中国地方整備局長)。対応に前向きな姿勢を見せた発注機関は少なくない。日建連は、休日の増加と共にPCa工法の導入拡大を「意見交換会の継続的な議題にする」(小原好一土木本部副本部長)方針だ。
 政府が9日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017(骨太方針)」は、社会資本整備の担い手確保や生産性向上を求めており、その成否が公共投資の規模を左右しかねない情勢だ。建設業にも時間外労働の上限規制適用が決まった。週休2日によって長時間労働を是正し、若い担い手を確保する取り組みは今後、法令順守の観点からも対応を迫られる。
 課題を克服し、生産力を維持・増強するためには従来の常識や文化を思い切って変革することも必要になっている。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の施行から3年。受発注者が両輪となって努力する環境が整い、宮本本部長は「例年以上にパートナーシップを実感できた」と会合を総括した。日建連は「社会、受注者、発注者のウイン・ウイン」(小原副本部長)を求め、新しい働き方の構築を目指す。
 (編集部・溝口和幸)

(様より引用)