長谷工コーポ/ベトナムでの挑戦・上/アジア事業拡大へ大きな一歩踏み出す

 長谷工コーポレーションが、アジア進出の初弾としてベトナム・ハノイに駐在員事務所を開設してからまもなく5年が経過する。国内で培ったマンション開発のノウハウを生かし、現地大手デベロッパーと事業を展開。2月には初のプロジェクトとして日本人向けの高層賃貸住宅を完成させた。成長著しいアジア地域での事業拡大を狙う同社の経営戦略を取材した。(編集部・浅見敬彦)



 「海外企業が進出しやすい環境が整い、治安がよいため現地駐在員の安全が確保できるなど、さまざまな面から(海外の)第1号プロジェクトにはベトナムがふさわしい」



 同社で海外事業を統括する楢岡祥之常務執行役員はベトナム進出の経緯をこう話す。



 ベトナムの人口は約9000万人で、平均年齢は28歳と日本に比べて20歳ほど若い。今後も労働人口の増加や高水準の経済発展が見込まれ、海外からの投資は非常に活発になっている。現在の人口構成比とGDP(国内総生産)の推移は、高度経済成長期にあった1960年代の日本とよく似ている。住宅需要も旺盛で60~70年代に日本で起こったマンションブームが、ベトナムで再現されようとしている。



 同社がベトナム市場に照準を定め、駐在員事務所を開設したのは12年4月。楢岡常務執行役員は「日本で培った安全や品質、快適で住みやすい住居を作るノウハウを生かし、事業が拡大できる国への進出を検討してきた」と振り返る。日本から2人のスタッフが現地に赴任し、取り組みが始動した。まずはベトナムに基盤を築く第一歩として、同国の企業や官庁とのネットワーク構築のほか、現地の情報収集や市場動向の調査などを行った。



 転機となったのは、進出から約1年が経過した13年に現地の大手デベロッパーHIMLAMBCとつながりが築けたことだ。日系企業の駐在員をターゲットに、サービスアパートメントの開発事業を実施することで合意。14年12月に長谷工コーポレーション95%、HIMLAMBC5%の出資比率で、合弁会社「HASEKO HIMLAMBC」を設立した。



 合弁設立の約3カ月後には日本人向け高層賃貸住宅「THE AUTHENTIC(オーセンティック)」の開発に着手。初めてのプロジェクトを「HASEKO・HIMLAMBC CT1 Project(HHCT1)」と名付け、現地で大きな一歩を踏み出した。



 HHCT1を賃貸住宅にしたのは「技術的な検証やさまざまな情報を建物から収集したい」(楢岡常務執行役員)という意図があったため。「収支ももちろん重要だが、今後、海外で事業を進めていくためにも技術やオペレーションを検証していく要素が強い」とプロジェクトの狙いを説明する。その上で「日本では当たり前にできることも、現地では困難なことがたくさんある。その中で現地の人材と資機材を使ってどこまで品質を高めることができるか挑戦したかった」と語る。



 17年4月からスタートする新3カ年中期経営計画では、東南アジアでの事業を将来の収益源に育てるため、ベトナムに加え、今後はインドネシアなどで実績を重ねる方針を明確に打ち出した。HHCT1で培ったノウハウをどのように水平展開し、海外で事業を拡大させていくのか-。同社の挑戦は緒に就いたばかりだ。

(様より引用)