青森県弘前市/弘前城石垣解体に着手/23年度全体完成へ、施工は大林組JV

 国重要文化財の弘前城(青森県弘前市)で9日、老朽化した石垣の一部を解体・修復する工事が始まった。大規模な石垣修復作業が行われるのは大正4年(1915)以来100年ぶり。同日、内濠を埋め立てた予定地で解体工事の地鎮祭を実施。多くの市民らが息をのむ中、一つ目の石垣を大型クレーンでゆっくりとつり上げて着地させ、工事をスタートさせた。施工は大林組・南建設・嶽開発JVが担当し、19年3月までに3000石を解体。23年度の全体完成を目指す。
 今回修復するのは、天守の真下から本丸の東側にかけての石垣の一部(延長約100メートル)と南面の石垣(約10メートル)。修復は14年度から10年間の事業として計画される。向こう2年間で石垣をすべて解体し、石を一つ一つ手入れした上で、21年度までに再び積み上げる。
 最後に大規模な修復を行った1915年には、崩落した天守台北側の石垣を地元の堀江組が施工し復旧。その後、経年劣化や天守などの荷重で石垣が少しづつ外側に膨らみ、そのまま放置すると地震などの衝撃で崩壊する危険があった。
 市は100年ぶりに大規模な修復を始めるに当たり、08年に学識者らを交えた検討会を立ち上げ、復旧方法や施工手順を慎重に検討してきた。
 今回の本格着工に際し、既存の石垣の様子をドローン(小型無人機)で撮影して3次元モデル化し、石垣を再び積み直す作業を円滑に行えるようにした。施工中も石垣周辺にドローンを飛ばし、解体の様子を逐一撮影するという。
 解体した石は付近の「四の丸」に運び、再使用できるかを検証する。使える石は磨いたり清掃したりし、元の場所に戻す。解体を終えた後は、二つの工区に分けて石垣を積み直す。天守台付近の石垣が完成し、天守を元の位置に曳き戻すまで5年、全体完成に10年を要する見込みだ。
 工事は大林組JVが「史跡弘前城跡本丸石垣解体工事」として受注した。工事内容は石積み解体工や石積み修復準備工、仮設工など。施工対象面積は1187平方メートル。工期は19年3月20日。受注金額は5億3820万円。
 式典には葛西憲之弘前市長や施工を担当する大林組の高槻幹雄常務執行役員東北支店長ら20人が出席。
 施工風景を見渡せるよう現場付近に設置された展望スペースに、多くの市民が集まった。
 神官による祝詞奏上の後、葛西市長や高槻支店長らが神前に玉串をささげ、工事の無事完成を祈った。
 □高橋一所長(大林組)の話□
 「仙台城の石垣復旧工事も担当したことがある。弘前の事業では、4月下旬に花見の時期となり、現場周辺に多くの観光客が詰めかけることが予想される。たくさんの人々が注目する大事業であり、とにかく安全第一で工事を進める」。

(日刊建設工業新聞様より引用)