鹿島、演算工房/ドリルジャンボの削孔誘導システム開発/山岳トンネル工事に導入

 鹿島は2日、演算工房(京都市上京区、林稔社長)と共同で、NATMによる山岳トンネル工事でドリルジャンボの削孔を誘導するシステムを開発したと発表した。切羽面をスキャニングし、凹凸を座標として把握した上で、計画発破孔の位置と削孔角度を算出する。それを基にガイダンスをモニターに表示することで、オペレーターの操作を支援し、正確で迅速な削孔を実現する。
 国土交通省東北地方整備局から受注した「国道45号唐丹第3トンネル工事」(工期=14年3月~17年3月)に導入した。一度の発破で掘進する距離(発破進行長)を安定して確保することができ、16年7月に記録した月間掘進距離270メートルの達成に貢献した。
 山岳トンネル工事では、工期短縮と余掘り低減のため、火薬装てん用の発破孔の削孔が計画通りの位置や角度、深さとなるよう、作業の正確性が求められる。オペレーターの経験に頼る部分が大きいが、ICT(情報通信技術)の進歩に伴い、作業を支援するガイダンスソフトが開発されている。
 このソフトでは、実体のない仮想の切羽面(仮想切羽面)上でグラフィックを使って削孔位置に誘導するため、凹凸のある実際の切羽面とのずれが生じる点が課題とされる。フルオート削孔が可能なコンピュータージャンボも開発されているが、マシン自体が高価で普及には至っていない。
 そこで鹿島は、演算工房が保有する削孔ガイダンスシステムに、鹿島独自の3次元(3D)スキャナー技術を付加した新しい削孔誘導システム「モールス」を開発した。光波測量によりジャンボの位置や姿勢を把握するターゲット、切羽面の凹凸を把握する3Dスキャナー、切羽面とブームの動きを捉える動画カメラ、削孔誘導画面を表示するモニターで構成する。
 3Dスキャナーで得られる切羽面の凹凸座標から誘導ラインを計算し、リアルタイムにモニターに映し出す。モニターには、誘導ラインと3色の誘導マーカーが表示されており、オペレーターは誘導ラインに自身の操作するブームを合わせ、誘導マーカーの通りに削孔する。削孔位置・角度に加え、削孔長も計画通りに施工でき、オペレーターの技量に頼ることなく確実な削孔が可能になる。
 唐丹第3トンネルでは、2台のドリルジャンボで切羽の左右をそれぞれ削孔していたが、2台にシステムを搭載することで、左右の切羽で進行の差が減り、切羽面の凹凸も少なくなったという。進行長も導入前に比べ約25%向上した。
 他の山岳トンネル建設現場でも1月からシステムの運用を始めており、今後も複数現場で工期短縮や余掘りの低減効果について検証し、山岳トンネル工事の合理化に役立てていく。

(日刊建設工業新聞様より引用)