2017新年号-伝える力を考える/多様化する広報ツール・3/ブルーズ・マガジン

 ◇ライブのように現場を伝えたい/相次ぐ品切れ、人気の秘密は
 建設業界を扱うフリーマガジン「BLUE’S MAGAZINE(ブルーズ・マガジン)」が若者などが集まるカルチャースポットで話題だ。全国の書店やライブハウスといった一見、建設業とは縁遠い場所に置かれた雑誌があっという間に品切れになるという事態が続出している。
 この2年弱で第7号まで発行。「土木建築系綜合カルチャーマガジン」というコンセプト通りに、生々しい現場ルポやインタビュー、土木・建築にまつわるコラムや書評、求人情報などが盛りだくさん。たたき上げの職人から若手の入職者、外国人労働者までが登場し、現場のリアルな声を届ける。
 発行元の感電社(現感伝社)を立ち上げたのは、水道工事を手掛ける柳工業(東京都狛江市)社長の柳知進氏と作家の石丸元章氏。疾走感のあるノンフィクションに定評がある石丸氏に、読者だった柳氏がツイッターで「雑誌をやりたい」と呼び掛けたことが発端だ。
 柳氏には沸々とした思いがあった。若いころにバンド活動をしていた柳氏にとって、職人たちの姿はミュージシャンと同じくらいの魅力を発していた。「この仕事は確かに怖いし、汚いし、きついんだけど、それだけじゃない。厳しさの中にぬくもりがあり、雑な所作の中に粋な振る舞いがある。悪いイメージのその奥にある光を見てほしいという思いがあった」。
 その熱い呼び掛けに石丸氏は即答。「現場のことを具体的に聞くうちに、自分が知らないカルチャーシーンがあるんだなと新鮮な喜びと驚きを感じた」。
 雑誌のエネルギーに引かれ、音楽や美術など主にサブカルチャーの世界で活躍するライターやカメラマンも集結。「街に生きている人は内心、建設業で働く人たちに尊敬の気持ちを抱いている。そういう思いを共有しているから、まるで(世界の著名な歌手が集結した)『ウィー・アー・ザ・ワールド』のようにみんなが参加してくれた」(石丸氏)。
 「いつも現場で職人が働く姿を(音楽の)ライブのように見てきた」と語る柳氏。それが誌面の原型となっている。「普段、目に見えている風景はすべて土木と建築でできている」と気付いたという石丸氏も、「だからこそ、あらゆる表現の手段を駆使して、時にシリアスに、時にユーモラスに、時に愛らしく、時に怒りを込めて描いていくことが可能な世界だ」と手応えを感じている。
 春ごろには初めての有料版に挑戦する。柳氏は、まだ現場の魅力や実情を伝え切れていないと自己評価している。「出航のための船は造ったが、目的地は見えていない。これからは自分のフィールドである土木に的を絞って、よりリアリティーのあるものを、さらに幅広い読者に届けていきたい」。

(日刊建設工業新聞様より引用)