ISO55001/コンサル分野で認証取得続々/運営事業の受注条件に

 建設コンサルタント分野の企業を中心に、インフラを対象としたアセットマネジメントシステムの国際規格「ISO55001」の認証を取得する動きが広がっている。インフラの維持管理業務や、民間が運営までを担うPPPやコンセッション(公共施設等運営権)といった事業で入札参加要件の一つに加える国内外の発注機関が増えているためだ。認証取得を受注ツールとして重視する企業が今後も増えそうだ。
 ISO55001は、14年1月に国際標準化機構(ISO)が新たに発行した国際規格。道路、鉄道、上下水道といったインフラの資産管理体制の構築、実施、維持、改善のための要求事項を規定しており、費用対効果の高い維持管理に寄与するといわれる。16年10月末時点の国内認証実績(日本環境認証機構調べ)は23件(企業数27社)。このうち8割近くが建設コンサルタントで、15、16年と取得数は着実に伸びている。
 インフラ整備の川上を担う建設コンサルタント分野は東日本大震災の復興事業や2020年東京五輪関連事業の調査・設計業務の発注が一段落。次の有望市場として各社が力を入れるのが、インフラの維持管理・運営分野だ。
 技術系人材が不足しているのは企業だけでなく、自治体も同じ。上下水道や道路の維持管理業務(包括委託や複数年契約など)の発注で、委託先企業の信頼性を担保する手段として「ISO55001の認証取得を条件とするところが多くなっている」(日本環境認証機構の青木泉取締役)という。青木氏は、コンセッション事業の発注でも、運営企業のアセットマネジメント能力を問う要件の一つに加えられ、徐々に広がっていくとみる。
 インフラ整備需要が旺盛なアジアを中心とする海外では、施設整備から運営管理までを含むPFIやPPPによる発注が多く、担当企業の能力を国際規格の認証取得の有無で判別するのは「既にデファクト・スタンダード」(同)。ISO55001の認証を取得することで日本企業も海外に進出しやすくなるとみられている。
 企業にとっては認証を取得しやすい環境も整いつつある。その一つが、ISOによる複数規格(品質、環境、情報セキュリティー、アセット)を円滑に運用するための「規格の共通化」。複数の規格を取得した企業は運用のプロセスや手続きを大幅に簡素化できる。
 国内産業界で初めてISOによる品質、環境、情報セキュリティー、アセットの四つのマネジメントシステムの統合運用を始めた日本水工設計の藤木修社長は、ISO規格を市場開拓に向けた経営支援ツールだけでなく、業務改善ツールとしても捉える。藤木氏は「業務が簡素化するだけでなく、業務の流れを『見える化』できた。社員の意識も向上し、仕様書になくても、顧客の要求事項をアセット、品質、環境、情報セキュリティーの総合的な観点から考え、仕事を仕上げている」とその効果を語る。
 ISO55001は現在、日本工業規格(JIS)化して日本語版にする作業が本年度内を目標に進行中。品質、環境のISO規格はJIS化によって企業の申請数が伸びた経緯があり、青木氏は「建設産業界でアセットマネジメントシステムの普及と各規格の統合化に向けたトリガーになる」とみている。

(日刊建設工業新聞様より引用)