シリーズ・国のかたちを考える2018/自民党政務調査会長・岸田文雄氏

 ◇経済もインフラも一流に
 先人たちが国づくりに努力してきたものの、現状を見る限り、日本のインフラは残念ながら世界水準で一流といえる状況にはないと思っている。外務大臣として延べ九十数カ国を訪れたが、日本の経済規模から考えた場合、空港、高速道路、都市などに物足りなさを感じてきた。
 地球温暖化の進展に伴う集中豪雨の頻発など、異常気象に対応しなければならない。防災の視点から、国民の命や暮らしを守るインフラ整備への期待は高まっている。高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化も大きな問題であり、メンテナンスという観点から取り組むべき課題は多い。
 経済で一流を目指すなら、インフラも一流にする必要がある。経済成長と国民の命や暮らしを守るという両面から進めていかなければならない。
 国にとって大切なインフラ整備を担う建設業界には、大きな期待を持っている。今後も継続して活動してもらうには、仕事の量が確保されなければならず、まずは公共事業予算を通じた仕事量の確保が必要だ。
 その上で公共工事品質確保促進法に基づく取り組みなどにより、建設の仕事に汗を流した人たちが報われるようにしなければならない。仕事量を確保し、仕事をすれば利益が上がる環境を整え、若い人たちが希望と志を持って入ってこられる産業であるべきだ。そのことにより、建設業に「地域の守り手」としての役割を担っていただきたい。われわれも建設業が活躍できる環境を整備する責任がある。
 15年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、地球が持続可能な形で維持されるために、国際社会が2030年に向けて何をしなければならないかが、17の目標で示された。
 建設分野にも特に関わりの深い目標が、「安全な水とトイレを世界中に」(目標6)、「産業と技術革新の基盤をつくろう」(目標9)、「住み続けられるまちづくりを」(目標11)、「気候変動に具体的な対策を」(目標13)の四つだ。
 具体的な取り組みとして、河川改修やダム建設、上下水道の整備、強靱(きょうじん)なインフラの構築、i-Constructionに代表されるICT(情報通信技術)やドローン(小型無人機)を活用した生産性向上策、住環境の整備、二酸化炭素(CO2)の削減、気候変動により激甚化する水害・土砂災害への備えなどが考えられる。
 大切な地球が今後も持続していくことに貢献するのは、日本にとっても重要であり、その中で建設業が地域の担い手としてだけでなく、世界に目を転じて地球規模で活躍する場面もあると思う。そうした一翼を担っていただきたい。
 (きしだ・ふみお)1957年7月29日生まれ。82年早大法学部卒。長期信用銀行(現新生銀行)、衆院議員秘書を経て、93年衆院議員初当選(広島1区、当選9回)。2012~17年に外務相を務め、党政調会長に。12年から宏池会会長。

(日刊建設工業新聞様より引用)