ゼネコン各社/洋上風力発電に照準/事業参画や関連技術開発、作業船新造も

 売電価格の低下などを背景に太陽光発電市場への新規参入が縮小する中、ゼネコン各社が洋上風力発電に照準を絞り、事業参画や工事受注を狙う動きが活発になっている。プロジェクトを軌道に乗せるため新たな手法で資金調達を図る動きや、風車建設に向け作業船を新造する取り組みが顕在化。投資対象の拡充やESG(環境・社会・企業統治)強化の観点からも、洋上風力発電への取り組みを加速させている。
 日本風力発電協会(高本学代表理事)の調査によると、稼働中の洋上風力発電の発電規模は約6万キロワット。一方、今後は、その50倍となる約289万キロワットの稼働が見込まれている。2026年ころまでにこれらの設備が稼働し始め、洋上風力発電の市場規模が拡大すると見られる。
 洋上風力発電は陸地での風力発電と比べ、風量が安定しており効率的な発電が可能なことに加え、風車の大型化が容易で、近年急速に普及している。ただ、陸上風力発電よりも建設コストが増加する傾向にあり、事業費が膨らむという課題がある。
 洋上風力発電の普及を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ゼネコンらと洋上風力発電システムの低コスト化に向けた施工技術の調査研究を実施している。日本の海底地形・地盤に適した基礎構造の施工技術、洋上で工期を短縮する施工技術を抽出。完成後の維持管理を含めたコストの低減効果も検討している。
 企業も独自に研究開発に取り組む。戸田建設は、昨年11月に国内市場で公募形式による環境債「グリーンボンド」(無担保普通社債)を発行すると発表。約100億円を調達し、長崎県五島市崎山漁港沖に計画している浮体式洋上風力発電施設の建設資金に充てる。
 各社は洋上風力発電施設の建造に欠かせないSEP(自己昇降式作業台)の開発にも軸足を置く。五洋建設は、大規模な発電設備の建設に対応するSEP建設を計画。5メガワット級の大型風車の基礎の施工や設置に使う800トンづり全旋回式クレーンを装備し、8月末の設備完成を目指す。
 若築建設、東光電気工事らも5社共同で、SEPを建造中だ。5メガワット級以上の風車を外洋に複数機設置するために必要な1300トンづりのクレーンを搭載した組み立て船(全長85メートル、幅40メートル)などの開発を計画。20年3月までの竣工を目標にしている。
 りんかい日産建設ら3社は、洋上風力発電設備の設置・撤去を効率化する工法の開発に取り組む。先細りした「テーパー型基礎杭」を採用して海底への打設と引き抜き作業を容易にし、工期と工事費の抑制につなげる。実用化できれば杭の引き抜きに必要な経費を半減できる見込みだ。
 洋上風力発電を含む再生可能エネルギー事業の強化を重点項目に挙げるゼネコンは多い。太陽光発電の売電価格下落や環境配慮といった環境の変化に対応し、事業参画を図っていくのか各社の動きが注目される。

(日刊建設工業新聞様より引用)