テックフォース発足10年/最前線で被災地の初動対応支援/建設業との連携強化不可欠

 国土交通省の緊急災害対策派遣隊(テックフォース)が発足してから25日で丸10年を迎える。大規模災害が起きる度に被災地へ赴き、最前線で被災自治体の初動対応を支援してきた活動実績に対する評価は高い。近い将来、南海トラフ巨大地震といった未曽有の大規模災害発生も予測される中、必要な体制確保に向けて地域の守り手である建設業との連携を、一段と強化することが不可欠となりそうだ。=2面に足立敏之自民党参院議員インタビュー
 「災害の初動対応に不可欠な組織という認識が広がりつつある。国交省の職員は災害対応の実働官庁だという意識を強く持つようになった」
 テックフォースを所管する山田邦博水管理・国土保全局長は10年間の活動成果をこう評価する。
 テックフォースは2008年6月の岩手・宮城内陸地震を皮切りに、11年3月の東日本大震災、15年9月の関東・東北豪雨、16年4月の熊本地震、17年7月の九州北部豪雨など、全国で発生した大規模災害の初動対応支援に取り組んできた。今年3月までに計81の災害に対し、延べ6万人以上の隊員を被災地に派遣した。
 こうした功績が評価され14年度に人事院総裁賞を受賞。15~16年度に2年連続で内閣総理大臣賞、15~17年度には3年連続で国土交通大臣賞を受けている。
 隊員数は17年10月1日時点で9408人。発足時に2547人だった隊員は4倍にも増えた。北海道開発局と内閣府沖縄総合事務局を含む地方整備局の職員(8781人)が圧倒的に多い。メンバーは技官6877人、事務官2531人。
 初動対応支援では、大規模災害で被災した自治体の要請で隊員を派遣し資機材も送る。技官の隊員が公共土木施設の被災状況を調査し、必要に応じ道路啓開や緊急排水などの応急活動に取り組む。事務官の隊員は広報用の写真や動画を撮影し、技官隊員の移動手段や宿泊施設、食事も手配する。被災自治体に赴いて連絡要員となる「リエゾン」の役割も担う。数人体制で編成する班にはできるだけ若手技官を1人加え、技術やノウハウの継承も図る。
 テックフォースの活動には転換点が何度かあった。一つが東日本大震災。被災地に出動した隊員数は過去最多の延べ1・8万人以上に達した。内陸部と津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部の間に救急・救援ルートを確保する「くしの歯作戦」と呼ぶ道路啓開や、津波で水没した仙台空港の排水に従事。復旧に不可欠なライフラインである道路や空港を短期間で使用できるようにした。
 もうひとつが熊本地震。阿蘇山周辺の土砂災害区域の調査や土砂撤去にドローン(無人航空機)や無人バックホウなどの先進技術を極力導入し、安全確保や作業効率の向上に役立てた。
 今後の課題は、政府が今後30年以内に70~80%の確率で発生すると予測する南海トラフ巨大地震への対応だ。東日本大震災を上回る大規模での広域被害が懸念される中、国交省は「脅威に的確に対応するテックフォースの充実強化が課題だ」(山田局長)として、人員増強と技術力の強化を目指している。
 大幅な人員増強が難しい中で、災害時応援協定を結び初動対応支援で協力を得ている建設団体・会社との連携をさらに強化。テックフォースと一緒により主体的に活動してもらえるような体制の在り方を探る。
 国交省時代、テックフォース創設に尽力した自民党の足立敏之参院議員は「災害時に建設、測量、建設コンサルタントなど建設分野全体でテックフォースだといえるようになれば」と期待を込める。

(日刊建設工業新聞様より引用)