トランプ米大統領就任/建設業界、期待と不安交錯/インフラ投資・防衛関連注視

 ◇保護主義政策には警戒も
 新たな米大統領の就任式が20日(日本時間21日未明)にワシントンで行われ、ドナルド・トランプ氏が第45代大統領に就任する。過激な発言に世界の注目が集まる中、どのような政権運営をするのか。日本の建設産業界も、「米国事業を拡大できる」「メキシコはブレーキがかかる」など期待と不安が交錯する。
 ゼネコンや設備工事各社の多くは「インフラ投資には期待できるが、まだどうなるか分からない。就任以降の動向を注視したい」などと慎重な姿勢を見せる。一方、プロジェクトの川上段階から関わる周辺業界からは「就任前から株高になるなど期待感で金融市場は上がり基調になっており、不動産取引などにも好影響が期待できる」(大手デベロッパー幹部)と期待の声も上がる。
 特にトランプ氏が選挙時に公約の一つとして掲げていた大規模なインフラ投資への期待は大きい。大手地質調査会社のトップは「米国事業を拡大できる可能性を感じている」と話す。既にインフラ投資に伴う地盤関連業務の発注が増えており、計測機器が売れ始めているという。
 セメントメーカーのトップからは「大統領選以降、当社の株価が上昇しており、米国に持つ生コンの製造・販売拠点への期待が大きいようだ」とインフラ投資への期待の声が出ている。
 防衛関連事業の動向も注視する材料の一つになっている。大手建設コンサルタント会社の社長は「防衛事業が増える可能性がある。日本国内の防衛関連事業にも注意を払いたい」と話す。あるゼネコンの国際担当者も「国内でも米軍基地整備関連の仕事が増えるかもしれない」と指摘。窓口として海外拠点の担当者を国内に配属させることも検討しているという。
 一方で、自由貿易に反対する保護主義政策には警戒感が広がる。同氏が名指しで批判するメキシコに進出している準大手ゼネコンのトップは「4、5年前から取り組み始め、非常に手応えを感じていたが、リスクが見えている中では新規の投資は見込めない。アジアに比べて他社との競合も少なく、利益を出しやすかったが、今は様子を見ている」と話す。
 日本企業の進出が多い東南アジアでも「自動車輸出に影響があれば、生産拠点の進出など東南アジアへの投資が減るのではないか」(大手ゼネコン国際担当者)、「TPP(環太平洋経済連携協定)の恩恵が大きいベトナムに投資していたが、米国の撤退は景気に影響する可能性がある。今後の動向を注視したい」(準大手ゼネコン海外担当者)と不安が広がる。
 ただ「米国第一」というトランプ氏の姿勢に対しては、トヨタ自動車など自動車メーカーが米国内への巨額投資を表明したこともあり、期待感も入り交じる。米国に拠点を持つ大手ゼネコンの海外担当者は「米国内での生産車種の変更による製造ラインの組み替えの計画も聞こえている。サプライヤー(部品メーカー)の進出が活発になるかもしれない」とプラス要因とする見方もある。

(日刊建設工業新聞様より引用)