北海道内建設企業の若手人材確保・育成状況/3年後定着率50%以下が4割/本社調査

 ◇「ここ数年は応募ゼロ」の声も
 北海道内の建設会社の約半数で新卒者の採用がままならず、1人以上採用できた企業でも人材の定着に苦慮している-。日刊建設工業新聞社が実施した若手人材の確保・育成に関するアンケートの結果によると、13年4月に新規学卒者を1人以上採用した企業のうち、新入社員の3年後の定着率が5割以下の企業の割合は39・6%を占めることが分かった。若手社員の定着化に向けては、入社前に抱く職場イメージと実態とのミスマッチを防ぐ目的で就業体験(インターンシップ)を実施している企業が77・8%と多いものの、その効果を実感している企業は実施企業の47・8%にとどまり、決め手となる有効打に欠けるようだ。
 アンケートは道内に本社がある建設業300社を対象に実施し、うち90社が回答した。90社中、3年前(13年4月)に新卒者を1人以上採用した企業は47・8%に当たる43社。採用しなかった企業は52・2%に当たる47社だった。
 新卒者を採用した43社のうち新入社員の3年後(16年4月時点)の在籍状況をみると、全員が在籍している定着率100%の企業が20社(全体の46・5%)、半数が在籍している定着率50%の企業が6社(14・0%)、全員が離職した定着率0%の企業が6社(同)だった。定着率が100%だった20社のうち14社は新入社員数が1人だった。
 残りの企業の定着率をみると、採用数はそれぞれ異なるものの、定着率20%台が1社(2・3%)、30%台が4社(9・3%)、60、70、80%台がそれぞれ2社(4・7%)ずつだった。
 □退職理由は「休日」□
 新入社員が退職する理由についての回答では「休日の取得が難しい」が33・3%で最も多かった。次いで「労働時間が長い」「その他」(いずれも22・2%)と、建設業特有の就業環境による要因が上位を占め、「職場の人間関係」「退職理由不明」(いずれも18・9%)、「給料が低い」(7・8%)と続いた。
 担い手の確保・育成に関して最も問題だと思う点について聞いたところ、「新入社員募集に対する応募が少ない」が78・9%で突出。中には「ここ数年は応募がゼロの状態」という企業もあった。次いで「採用しても定着しない」(15・6%)、「若い世代の新入社員とのコミュニケーションを図ることが難しい」(5・6%)との声が挙がった。
 □独自の育成策実施も□
 人材の定着化に向けて行っている取り組み(複数回答可)では、「インターンシップを開催」(77・8%)が最も多く、次に多かったのは「現場見学会を開催」(55・6%)、「イメージアップのためのPR活動」(44・4%)、「内定者との入社前の懇親会」(18・9%)と続いた。
 人事担当者とは別に、出身大学の研究室にいる学生など補助的に採用活動を行う「リクルーター」を活用している会社は10・0%だった。
 企業「独自の取り組み」実施は、3・3%が回答。その一例に、普通科高校の新卒者を社員として採用し工業専門学校に2年間通わせて技術者として育成するという試みもあった。入学金や学費は会社が負担し、一部を厚生労働省の補助金「キャリア形成促進助成金」で賄う。夏や冬の長期休暇中は社員として現場の業務に携わる。
 効果を実感できた取り組みについての質問では、「インターンシップ」(47・8%)との回答が最も多く、次が「現場見学会」(25・6%)だった。一方で「どの取り組みも効果を感じられない」との回答も21・1%を占めた。
 □指導の難しさに困惑□
 自由回答を見ると、採用に関しては「近年は大学側が企業説明会で大手企業を優先するようになり、地方建設会社に声が掛からなくなった」というものや、「本来であれば理系の大卒者を採用したいが、このような学生には大手志向が多く、地方建設業は相手にされない。そのため近年は地元の高卒者を採用しているが、応募ゼロの年もある」などの声があり、人材の確保に頭を痛める様子がうかがえた。
 採用後の育成に悩む企業も少なくない。「新入社員と、彼らを指導する社員の年齢差が大きく、お互いに接し方が分からず戸惑っている」「昔は『背中を見て仕事を覚えろ』という指導方法だったが、今はこちらから仕事を振らないと動けない社員が多く、少しでも放置すると自分の居場所を持てなくなり、辞めてしまう傾向にある」と、世代間ギャップによる指導の難しさに困惑する声も聞こえた。

(日刊建設工業新聞様より引用)