回転窓/お気に入りの書店がなくなっていく

 学生のころ、書店でアルバイトをしていた。昔ながらの小さな店構えだが、店主の趣向で高価な美術書や風変わりな本も置いていた▼勤務時間は午後3時くらいから閉店して片付けが終わる午後10時くらいまで。その間、近所の商店街に雑誌の配達に出向いたり、図書館へ納品したりする以外は、本の整理をしながら店番をしていた。足しげく通ってくれるおなじみさんとの会話は楽しく、プライベートでも親しくさせていただいた方もいた▼就職してからも何度となく訪れたが、数年後に店を閉じてしまった。徐々に落ち込む売れ行きを止められなかったようだ。思い出深いその街をたまに訪れるが、学生時代の自分の居場所はすっかり変わってしまった▼都心で深夜も営業し、アートやサブカルチャーの書籍がそろう青山ブックセンター六本木店が閉店するという。週末などに友人と車で繰り出し、本を探しに行ったのが懐かしい▼多くの人が書籍をインターネットで購入する時代。実売店舗の経営は難しくなっている。お気に入りの書店が一つ、また一つと姿を消すのは、自宅の書棚がだんだんと無くなるようで何とも寂しい。

(日刊建設工業新聞様より引用)