回転窓/幻の都市博と万博誘致

 1996年に東京の臨海副都心地域を舞台に計画されていた「世界都市博覧会」。無党派層の圧倒的な支持を受けて国政から都政に転身した当時の青島幸男都知事は、選挙で公約した通りに中止を決断した▼3年後に迫った五輪に向けて街づくりが進む今の東京で、幻の都市博について語られることは少ないが、あの博覧会が予定通り開かれていたら東京の街づくりはその後どうなっていただろうか、と考えることがある▼インターネット社会を先取りする双方向通信のあり方を提示するなど、実現していれば21世紀の都市を考える上で有意義なイベントになっていたと思われる。その後の臨海副都心開発に与えた影響も計り知れない▼2025年の万博を大阪に誘致しようという活動が熱を帯びてきた。来月下旬には、榊原定征経団連会長がトップに就く誘致委員会も立ち上がる。舞台となるのは、都市博に似て大阪臨海部の人工島・夢洲▼未来を見据え、持続可能な社会を提示する上で博覧会が果たす役割は小さくない。一過性のイベントに終わることのないよう願うが、まずは誘致に向けた国民の機運の醸成が不可欠だろう。

(日刊建設工業新聞様より引用)