回転窓/浮遊する言葉とその重み

 「若手を怒ったら電話に出なくなり、SNS(インターネット交流サイト)からの連絡だけで辞めてしまった」。企業の幹部がぼやいていた。連絡が無いよりは良いが、「メッセージを送ったからいいだろう」という振る舞いには違和感を覚える▼インターネットやスマートフォンの普及であらゆる人がどこでも即座に言葉を発信でき、膨大な量のメッセージが飛び交い蓄積されている。詩人の谷川俊太郎さんが「言葉が異様に膨張している。『言語で表現すれば済む』となっているのではないか」と話していた▼「言語が持っている内容が、言語で覆われて見えなくなっている」とも。言葉に発しなければ伝わらないことは多いが、短い言葉では真意が通じないことも同じように多い▼人を追い詰めるような言葉をネットで発した人は、本当に相手を批判したくてキーボードをたたいたのか。いら立ちをぶつけたいだけなら、ネットに浮遊する言葉とその人の感情はまったくの別物と言える▼便利な時代だからこそ、言葉の重みを誰もが認識する必要がある。リーダーやメディアがその最たる存在であることは言うまでもない。

(日刊建設工業新聞様より引用)