回転窓/田部井さんの遺志を継ごう

 先日亡くなった登山家・田部井淳子さんが最後に登ったのが、7月に東北の高校生たちと行った富士山。7合目付近で頂上を目指す彼らを励まし、見送ったそうだ▼数年前、田部井さんの郷里・福島の幼なじみという業界関係者に誘われて酒席をご一緒させていただいたことがある。多くの貴重な話を伺ったことが思い出深い。子どもの頃、学校の先生に繰り返し作文を書かされたことが、分かりやすい文章でつづられた著作のベースになっていることを知った▼その後、本紙にもご登場いただこうと、インタビューをお願いしたところ快諾され、12年6月25日の紙面に掲載した(シリーズ「国のかたちを考える」)。東日本大震災後、東北を応援するプロジェクトを始めていたことはその際にお聞きした▼原発事故の風評被害で県の存在さえも揺らぐような福島の現状を嘆きつつ、「のど元過ぎれば」と震災の記憶が薄れていくことにも強い危機感を示された▼冒頭の富士登山も応援プロジェクトの一環で計画された。東北が元気を取り戻し、新たな道を歩んでいくためにも田部井さんの遺志が引き継がれてほしい。

(日刊建設工業新聞様より引用)