回転窓/豆腐の風流と現実

 寒さの厳しい季節にありがたい料理が湯豆腐。こう書きだしてみたものの、一昨日の関東各地は気温が20度を超え、1月としては統計史上最高を更新した地点が続出したばかり。いささか季節感が合わないという方もおられるかもしれない▼「ばくざん先生」の愛称を持つ書家の榊莫山が、日本で豆腐の人気が高いのは「豆腐には、風流があるからだ、と思う。」と書いている(『莫山つれづれ』新潮文庫)。多くの人が年中食べる理由を実にうまく表現していよう▼日本を代表する食の豆腐だが、製造業者は価格競争の激化で厳しい経営環境にある。近年は廃業する店が多く、昨年末から今年にかけても、昭和初期創業の老舗業者が億単位の負債を抱えて相次ぎ破産している▼昨年、こんな状況に危機感を募らせた与党の国会議員が集まり「日本の豆腐文化を守る議員連盟」(会長・林芳正元農林水産相)を発足。不当廉売の防止や輸出促進を目的に活動していくという▼木綿もよし、絹もよし。温めるもよし、冷やすもよし。ばくざん先生が味に惚れ込んで書いたラベル付きの焼酎を共に、今夜も豆腐文化の継承に一役買おう。

(日刊建設工業新聞様より引用)