回転窓/都会の「お互いさま」

 「駒沢方面です。一緒に乗っていきませんか」。首都圏に大雪が降った22日の夜、東京の渋谷駅前でタクシーを待つ人に一人の中年男性が呼び掛けていた▼降雪で電車やバスなどの公共交通機関は大混乱。駅前のタクシー乗り場には帰宅を急ぐ人が長蛇の列をつくった。降りしきる雪の中でタクシーを待ちわびていた高齢の女性たちが男性の声に手を挙げて一緒に乗っていった▼タクシーは1台に3~4人が乗れる。緊急時には皆が同様の声掛けを行えば輸送力は3~4倍になる。困った時はお互いさま、袖振り合うも多生の縁である。多くの人が相身互いの精神を持てば、都会も今よりもっと暮らしやすくなろう▼見知らぬ者同士がタクシーを共同で利用する「相乗りタクシー」の実証実験を国土交通省が東京都内で始めた。利用者がスマートフォンの専用アプリを使って乗車地と目的地を設定すると、同じ方向へ行く客を選んでマッチングしてくれるという▼1人で乗るより運賃は割安。タクシーが使いやすくなり、輸送効率も向上すると国交省はみている。先進技術を駆使する都会の「お互いさま」。実験結果に期待しよう。

(日刊建設工業新聞様より引用)