回転窓/駅前空間に地域のデザインを

 昨年12月7日に全面供用したJR東京駅の丸の内駅前広場を暮れに訪れた。新名所の話題性や年末の帰省シーズンが重なって多くの人が行き交うが、広場中央の大きな歩行者専用空間がそれを許容していた▼路線バスやタクシーなどの交通結節機能も集約し、歩行者にも車両にも配慮された構成。赤れんが駅舎や皇居へ続く行幸通りと調和した見事な都市景観が誕生していた▼丸の内駅舎の保存・復元工事が終わって5年以上がたつが、シンボリックな駅舎建築はいまだに人気の撮影スポット。近寄り難い重要文化財ではなく、見て触れる上に現役として生き続けている。そんな姿が人を引き付けるのだろう▼保存・復元に尽くした建築史家の鈴木博之氏(東大名誉教授、享年68)は著書『保存原論』(市ケ谷出版社)で「広場をもうすこし整備して最後の画竜点睛をうまくやりたいと思っています」と記した。物事を完成させるために最後に加える大切な仕上げを広場の整備と見ていた▼確かに駅を出た瞬間の風景はその街の印象や思い出になる。地域に合ったデザインの駅舎は増えているが、駅前空間にももっと目を向けては。

(日刊建設工業新聞様より引用)