国交省検討会/高規格堤防、盛り土・建物一体施工を/のり面の民間活用解禁も

 首都圏と近畿圏の河川で国が進めている高規格堤防の整備を効率化する方策を議論してきた国土交通省の「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」(座長・宮村忠関東学院大名誉教授)は最終報告をまとめた。堤防の背後地でまちづくりを行う民間事業者や自治体が事業に参画しやすくなる仕組みを中心に提案。盛り土と建築物の一体施工や、まちづくりのインセンティブとして民間による堤防のり面の利用を解禁することなどを列挙した。=2面に関連記事
 高規格堤防は、発生確率が100~200年に1回程度の大洪水が起きても決壊しないよう、標準的な堤防の約30倍の幅と緩傾斜を確保した堤防。既設の構造物を撤去した後に、河川管理者が盛り土や地盤改良などを行い、まちづくりを行う民間事業者や自治体に土地を引き渡した上で、建築物などの上物整備を行ってもらう。
 現在は国の直轄事業として、主に海抜ゼロメートル地帯を流れる首都圏の江戸川、荒川、多摩川と近畿圏の淀川、大和川の計5河川で整備中。計画延長は約120キロで、今年3月時点で約1割(約14キロ)が概成している。
 高規格堤防の整備では、河川管理者からまちづくりを行う事業者に土地を引き渡すまでが長期化しやすいことから、提言では、民間事業者や自治体がまちづくり事業に参画しやすくなる施策を中心に列挙した。
 具体策の一つが盛り土と建築物の一体施工。実現すれば、堤防とまちづくりの工事を同時に進められるようになるため、全体工期を短縮しやすくなる。河川管理者が行う堤防の盛り土工事をまちづくり事業者も行えるようにすることも必要だと指摘した。
 まちづくりの新たなインセンティブも提案。現在は背後地と堤防の間にある堤防のり面は、公共機関にしか利用が認められていないが、これを民間事業者にも認めるようにすることを求めた。これによって堤防のり面を建築物の敷地面積に算入できるようになるため、より大規模な建築物が建てやすくなる。
 河川管理者が高規格堤防の整備予定区域をできるだけ早期に明示し、まちづくり事業者を公募する新たな仕組みの導入も提案した。国交省によると、現在は河川管理者がまちづくり事業者の参画を確認してからおおむね1年後に事業化されるケースが多く、事業者が想定していたまちづくりのスケジュールに遅れが生じ、事業参画が見送られたケースもあるという。両者が想定する事業着手時期がかい離しないように手続きの改善を図る。

(日刊建設工業新聞様より引用)