国交省/働き方改革加速化プログラム策定/長時間労働是正など3分野で施策展開

 国土交通省は20日、建設業の働き方改革をより加速するための新しい施策パッケージ「建設業働き方改革加速化プログラム」を発表した。長時間労働の是正、給与・社会保険、生産性向上の3分野で新たな施策をまとめた。関係者の密接な連携と対話を通して施策を展開する。石井啓一国交相は、同日の閣議後の記者会見で「27日に建設業4団体に対してプログラムの積極的な取り組みを直接要請したい」と表明した。
 政府は昨年3月に決定した「働き方改革実行計画」を踏まえ、同年8月に官民の建設工事が対象の「適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定するなど、建設業の働き方改革を実現する取り組みを推し進めている。建設業団体も働き方改革に向け、業界を挙げて活動を展開している。国交省は官民の取り組みをさらに加速させるため、新たな施策パッケージを策定した。
 建設業に罰則付きの時間外労働規制が適用される「改正労働基準法の施行後5年」という時間を待たず、長時間労働の是正や週休2日の実現を目指す。週休2日制の実施を後押しするため、公共工事では週休2日工事の実施団体・件数を大幅に拡大。同時に民間工事でもモデル工事の試行を促す。公共の週休2日工事では労務費などに補正係数を導入し、間接費の補正係数を引き上げる。まずは4週8休を目指し、段階的に取り組めるよう配慮する。
 技能と経験にふさわしい処遇と社会保険加入の徹底に向けた環境も整備する。今秋稼働する建設キャリアアップシステムについて、石井国交相は「おおむね5年ですべての建設技能者(約330万人)の加入を推進する」と言及。同システムを活用した建設技能者の能力評価制度の策定や、雇用する専門工事業の施工能力の見える化を検討する。
 社会保険未加入業者の建設業許可・更新を認めない仕組みを構築するなど、社会保険加入を建設業を営む上での最低基準にする。給与や社会保険加入は、週休2日工事も含め継続的なモニタリング調査を実施。下請まで労務費や法定福利費が行き渡っているかを確認する。
 建設現場の生産性向上策i-Constructionもより推し進める。建設生産システムの全段階にICT(情報通信技術)を活用するなどして生産性の向上を図る。中小の建設会社による積極的なICT活用を促すため、公共工事の積算基準などを改善する。
 国交省は今後、建設業団体にもプログラムの積極的な取り組みを要請する。今夏をめどに官民の取り組みを共有し、施策の具体的な展開や強化に向けた対話を実施する方針だ。
 プロクラムの内容は次の通り。
 ■長時間労働の是正
 【週休2日制の導入を後押し】
 ▽公共工事で週休2日工事の実施団体・件数を大幅に拡大するとともに、民間工事でもモデル工事を試行
 ▽公共工事の週休2日工事で労務費等の補正を導入するとともに、共通仮設費と現場管理費の補正率を見直す
 ▽週休2日を達成した企業や女性活躍を推進する企業など、働き方改革に積極的に取り組む企業を積極的に評価
 ▽週休2日制を実施している現場等(モデルとなる優良な現場)を見える化
 【各発注者の特性を踏まえた適正な工期設定を推進】
 ▽「適正な工期設定ガイドライン」を各発注工事の実情を踏まえて改定するとともに、受発注者双方の協力による取り組みを推進
 ▽「工期設定支援システム」を地方自治体などへ周知
 ■給与・社会保険
 【技能や経験にふさわしい処遇(給与)を実現】
 ▽発注関係団体・建設業団体に対し、労務単価の活用や適切な賃金水準の確保を要請
 ▽「建設キャリアアップシステム」の今秋の稼働と、おおむね5年ですべての建設技能者(約330万人)の加入を推進
 ▽建設技能者の能力評価制度を策定
 ▽高い技能・経験を有する建設技能者に対する公共工事での評価や、雇用する専門工事会社の施工能力等の見える化を検討
 ▽民間工事に建設業の退職金共済制度が普及するよう関係団体に働き掛け
 【社会保険への加入を建設業を営む上でのミニマム・スタンダードに】
 ▽すべての発注者に対し、下請を含め社会保険加入業者に限定するよう要請
 ▽未加入業者は建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築
 ■生産性向上
 【生産性の向上に取り組む建設企業を後押し】
 ▽中小建設企業による積極的なICT(情報通信技術)活用を促すため、公共工事の積算基準等を改善
 ▽生産性向上に積極的に取り組む企業等を表彰(i-Construction大賞の大賞拡大)
 ▽個々の建設業従事者の人材育成を通じて生産性向上につなげるため、建設リカレント(学び直し)教育を推進
 【仕事を効率化】
 ▽建設業許可等の手続き負担を軽減するため、申請手続きを電子化
 ▽工事書類の作成負担を軽減するため、公共工事に関係する基準類を改定するとともに、IoT(モノのインターネット)や新技術の導入等による施工品質向上と省力化
 ▽建設キャリアアップシステムを活用し、書類作成等の現場管理を効率化
 【限られた人材・資機材の効率的な活用を促進】
 ▽現場技術者の将来的な減少を見据え、技術者配置要件の合理化を検討
 ▽補助金等を受けて発注される民間工事を含め、施工時期の平準をさらに推進
 【重層下請構造改善のため、下請次数削減方策を検討】。

(日刊建設工業新聞様より引用)