国交省/安全衛生経費の適正確保へ実効方策議論/実務者会議設置、内訳明示の手法検討

 国土交通省は7日、建設工事で適正な安全衛生経費を確保し、2次以下も含む全下請に届くような実効性の高い方策を話し合う実務者検討会を立ち上げた=写真。最新の現場の実態に配慮しつつ、必要な安全衛生経費の対象項目や、安全衛生経費を内訳明示する見積書の活用といった手法を議論する。時期は未定だが、数回の会合を経て意見をまとめる。
 検討会の座長には芝浦工業大学建築学部建築学科の蟹澤宏剛教授が就いた。初会合であいさつした国交省の鈴木英二郎官房審議官(土地・建設産業局担当)は、今後の担い手確保という観点などからも建設業の労働死亡災害ゼロを目指す方針を強調。その上で「安全衛生経費の定義付けをはじめ、確実に発注者から元請、元請から下請へと届けていく方策を議論してほしい。重要な課題だ」と呼び掛けた。
 蟹澤座長は、建設工事の安全衛生経費を巡る現状について「(重層下請構造の中で)安全衛生経費が省略されるなどダンピングの原資になっている。こうした状況を受け入れている建設業の意識改革が必要だ」と指摘した。
 初会合では、国交省が検討の論点として▽安全衛生経費の定義付け▽安全衛生経費が下請まで確実に支払われる実効性ある施策▽発注者の理解を得るための方策-の3点を提示した。いずれも国交省が18年度中に着手する安全衛生経費の確保や支払いに関する実態把握調査の結果を参考にしながら議論する。
 安全衛生経費の定義付けでは、現行の労働安全衛生法令の対象になっていない項目も「義務付けまでは求めないが実施することが望ましい項目」として位置付けるかどうかなどを検討する。実務者会議の委員からは、共通仮設費や現場管理費の一部として扱われている「安全・健康費」を、工事費の積算体系の中で独立させた費目として扱うのが望ましいとの提案が出た。
 安全衛生経費を確実に行き届かせるための施策では、2次以下も含む全下請を対象に見積書で法定福利費を内訳明示する取り組みを推進している社会保険加入対策と同様に、見積書で安全衛生経費を内訳明示する取り組みの有効性や必要性を話し合う。
 適正な安全衛生経費の確保や支払いの実効性を高める方策は、こうした方針が位置付けられた建設職人基本法の基本計画に基づいて議論する。
 《建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会委員(かっこ内は肩書)》
 ▽大幢勝利(労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所研究推進・国際センター長)▽小岸昭義(OGISHI代表取締役)▽蟹澤宏剛(芝浦工業大学建築学部建築学科教授)▽岸田敏弘(岸田組代表取締役)▽城戸尚治(城戸産業医事務所)▽佐々木洋幸(全国建設業協会労働委員会委員、竹中工務店安全環境本部長)▽関根健太郎(関根建設取締役部長)▽田久悟(全国建設労働組合総連合労働対策部長)
 ▽橋本晃秀(日本建設産業職員労働組合協議会政策企画局局次長)▽藤井覚(日本建設業連合会安全委員会安全対策部会専門委員、清水建設土木東京支店生産計画部積算第2グループ長)▽細谷浩昭(建設労務安全研究会副理事長、鉄建建設東京支店安全品質環境部長)▽本山謙治(建設業労働災害防止協会技術管理部長)▽山谷朋彦(全国中小建設業協会参与、ヤマヤ土建代表取締役)▽矢野進一(全国仮設安全事業協同組合常務理事)。

(日刊建設工業新聞様より引用)