国交省/建築士報酬告示見直し、17年度に検討着手/実態とのかい離是正へ

 国土交通省は17年度、建築士事務所の業務報酬基準(告示15号)の見直しに向けた検討を始める。09年の施行から7年近くが経過し、設計業務などの質と量が変化するとともに発注方式も多様化。告示で定める標準業務の内容や量、時間などが実態とかい離しているとの指摘もあることから、同省は「報酬基準の見直しが必要」(伊藤明子住宅局官房審議官)と判断した。
 業務報酬基準は、建築士事務所の開設者が発注者に請求できる報酬の基準として1979年に定められた。05年に発覚した耐震偽装事件の再発防止策の一環として改定。09年1月に旧告示(79年建設省告示1206号)が廃止され、新たに「09年国交省告示15号」が施行された。
 告示15号は、建築物の用途区分を生産施設や商業施設、共同住宅など15に分け、「設計」と「工事監理等」のそれぞれについて、総合、構造、設備に細分化。その上で、延べ床面積ごとに「人・時間ベース」での標準業務量を示している。建築設計界には、延べ床面積が大きくなるにつれて、実際の業務量とかい離していくとの指摘がある。
 告示では標準業務の中身についても、その内容と成果図書を詳しく明記。設計業務では、▽基本設計▽実施設計▽工事施工段階で設計者が行うことに合理性がある実施設計-に分類。このほかに工事監理とその他の業務が示されている。だが標準的な設計・監理業務も変化しており、「実施設計の内容を前倒しして基本設計で行うケースもある」(建築設計の実務者)といった意見も出ている。
 実務では標準業務の内容に含まれない業務も数多くあり、これらは追加業務に位置付けられている。例えば、住宅性能評価や建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の適用、成果図書以外の資料作成などで、「ここ数年、建築主や第三者への説明用資料や模型づくりなど追加業務が増えているが、サービス業務になっている」(建築設計事務所の経営者)との声も少なくない。
 こうした状況を踏まえ、国交省は業務の実態をきちんと把握し、適切な報酬基準について検討する。議論の場やメンバーなどは現段階で未定としている。

(日刊建設工業新聞様より引用)