国交省/建築物の設計・運用、物流最適化へ指針策定へ/普及促進策も検討

 国土交通省は物流の生産性を高める建築物の設計・運用に関する指針を策定する。建物内への搬入や館内配送などが発生する建築物を対象に、設計(デザイン)と運用(オペレーション)一体で物流の最適化を図るのが目的。建物の利便性や快適性を高め、運用コストの削減や資産価値向上につなげる。有識者らの検討会で議論し、指針に沿った取り組みの普及策も含めて年度内の策定を目指す。
 石井啓一国交相を本部長とする国交省生産性革命本部は4月に「オールジャパンで取り組む『物流生産性革命』の推進」を生産性革命プロジェクトに選定。物流の効率化・高度化に向けた取り組みを進めている。
 政府が6月に閣議決定した「日本再興戦略」で、物流を考慮した建築物の設計・運用ガイドラインを16年度に策定することが明記されたのを受け、国交省は有識者や関係団体、関係省庁でつくる「物流を考慮した建築物の設計・運用検討会」を設置。16日に東京都内で初会合を開いた。
 国交省は指針の検討で、▽対象となる建築物の用途▽対象とする建築物の規模▽ガイドラインに沿った取り組みの普及-の3点に論点を整理。対象用途としては日々一定量の物流が発生することが想定される用途の建築物とし、商業施設、オフィスビル、マンション、これら複合施設などを例示した。
 規模については設計面では一定規模以上とし、運用面では規模にかかわらず対象とする考えを示した。設計面で対象とする規模は建築物の用途に応じて、平均的にどの程度の物流が発生するかを踏まえて検討するとした。
 指針の普及・定着に向けて、指針に適合した建築物が認知、評価される取り組みを検討。指針を使用する設計者などが活用しやすい内容にすることを重視する考えだ。
 初会合で重田雅史官房物流審議官は、経済的な包装や輸送に適した製品設計を行う概念「デザイン・フォー・ロジスティクス」を引き合いに、「(工業製品を)街や建物に置き換えると、設計と物流の双方で議論をし、互いに高め合う要素がある。業務と店舗と居住という複合的な大きな建物の中で発生する物流は非常に複雑になっている」と指摘し、指針策定の重要性を強調した。
 会合では関係団体から、大規模建築物の荷さばきの課題や設計基準案、計画設計方法などが報告された。
 検討会の委員は次の通り。
 【学識経験者】秋山哲一東洋大学理工学部教授▽大沢昌玄日本大学理工学部教授▽苦瀬博仁流通経済大学流通情報学部教授
 【関係事業者団体など】荒木治彦三菱地所丸の内開発部長▽尾崎勝東京建築士会副会長▽金嶋知二全日本トラック協会引越部会副部会長▽桐山裕之日本ロジスティクスシステム協会運営委員会委員▽西田光宏日本百貨店協会常務理事▽村上哲也日本ショッピングセンター協会事務局長▽村上敏夫日本物流団体連合会理事・事務局長▽山内信幸全国物流ネットワーク協会専務理事▽山本昌史日本自動車工業会大型車企画部会・実務者会議主査
 【行政】太刀川浩一警察庁交通局交通規制課長▽林揚哲経済産業省商務情報政策局商務流通保安グループ流通政策課長▽重田雅史国土交通省官房物流審議官▽平嶋隆司国交省総合政策局物流政策課長▽中田裕人国交省土地・建設産業局不動産業課長▽渡邉浩司国交省都市局街路交通施設課長▽橋本雅道国交省道路局企画課道路経済調査室長▽石崎和志国交省住宅局建築指導課長▽加藤進国交省自動車局貨物課長。

(日刊建設工業新聞様より引用)