国交省/長時間労働是正へ取り組み本格化/政策会議で議論、慣行踏まえ改善策

 建設業の長時間労働の是正に向けた取り組みが本格化する。政府が進める働き方改革で労働時間の短縮は柱の一つ。建設業は就業規則で定める時間内の実労働時間が長い上、法律上の時間外労働の上限規定が適用除外となっている。建設業特有の労働慣行なども踏まえて、長時間労働をどう是正するか。これまで以上に踏み込んだ検討が求められる。
 国土交通省は26日に開く建設産業政策会議で「建設業の働き方」をテーマに設定。この中で、長時間労働の是正が重要な議題の一つになる見通しだ。
 建設産業の労働環境の改善に向け、国交省は公共工事設計労務単価の引き上げや社会保険加入の促進などの取り組みを実施。建設現場の生産性向上策「i-Construction」の推進や週休2日モデル工事の拡大などに取り組んできた。一方で、建設業の就業者を取り巻く状況は依然厳しい。
 厚生労働省が14年に行った調査によると、就業規則で定めた所定内と所定外を合わせた年間労働時間は、全産業の1741時間に対し建設業は2078時間。製造業の1958時間と比べても相当に長い。技能労働者はほぼ日給月給制で、日数を多く働いた方が月給が増えるため、休暇取得のインセンティブが働きにくく、結果として所定内労働時間が多い傾向となる。
 労使間で協定(36協定)を結ぶと法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働も可能になる。時間外労働には厚労省の告示で「月45時間・年350時間」という上限が設けられているが、建設業は仕事が天候などの自然条件に左右されるため、上限規定の適用が除外されている。
 最近は建設現場でも週休2日の導入機運が高まってきたが、積雪などの気象条件で施工できる期間が限定される地域などでは実現が難しいとの声も少なくない。実際に働ける日数が少なく、「この現場に行っても稼げない」となれば、作業員が集まらないリスクがあるためだ。
 長時間労働の問題はこれまで現場の作業員や職員が中心だったが、最近は内勤者にも対象が広がり始めている。建設業ではないが、研究所に所属していた社員に36協定の上限を超える残業をさせたとして今月、大手メーカーが書類送検された。大手広告代理店が社員に違法な長時間労働をさせたとして書類送検され、トップが辞任に追い込まれた事例もあり、企業の経営姿勢が問われる。
 若い世代の多くは、労働時間や休暇、賃金水準などを入職の条件にしている。建設業特有の労働慣行や産業構造を踏まえ、若い人が求める条件に対し、どのような解決策を見いだすのか。国交省の森昌文技監は「非常に難しい課題だが、働き方改革によって、若い人が将来を見通して安心して入職できる就労環境を作り上げていかなくてはいけない」と話す。さまざまなアプローチを模索し、踏み込んだ改善策が求められる。

(日刊建設工業新聞様より引用)