外国人の不動産投資が減速

次の一手を模索する不動産会社


円高の影響で外国人投資家が東京の不動産を買い控え、インバウンド(日本不動産の売買仲介)ビジネスに力を入れてきた不動産会社の業績に影響を与えている。
売買仲介件数が減る中で、円安に振れるのを待つ企業もあれば、逆風の中さらに台湾に拠点を開設する会社もあり各社が次の一手を模索している。

ランドネット(東京都豊島区)は外国人の個人投資家に中古の区分マンション売買仲介するが、今年の外国人向け販売・仲介件数は約300件と前年比で3割減だ。
特に香港の投資家の購買意欲が落ちている。
500~1000万円の価格帯が多く、安い物件に人気が集まっていることもあり取扱高は前年比で半分になった。

ただ、「海外の投資家による日本不動産の売買については、まだ市場が開拓しきれていないという認識を持っている。今後円安になれば、再び爆発的な人気を呼ぶだろう」と前向きだ。
今後は、投資セミナーの開催を台北市と香港に加え、台中、台南、中国本土などにも広げていく。

外国の機関投資家が日本の不動産を取引する数字も下がっている。
Real Capital Analyticsのデータによると、海外資金による1取引10億円以上の国内不動産取得額は、2014年に110億ドルほどだったのが15年には80億ドルを割り込み、3割減った。
理由の一つは円高だ。
15年に1ドル120円周辺だったのが16年に入ってから上がりはじめ9月は100円台前半になった。
外国人の個人投資家も、為替によるメリットが感じられなくなったため買い控える傾向にある。

収益用マンションの開発・販売を行うクレアスライフ(東京都港区)では、シンガポールの投資家の動きが止まった。
外国人向けの販売実績は昨年の半分だ。
だが、台湾の富裕層による需要がこれから出てくると同社は踏む。
尾池雄二社長は「台湾では相続税が増税になる。相続税対策として日本の不動産を購入するケースが増えていくだろう」と話す。
10月12日には、新たに台湾に現地法人を設立する予定で、攻めの姿勢を崩さない。

中華圏の富裕層向けに日本の不動産紹介サイトを運営する世界(東京都豊島区)は、今年に入ってからの取扱高が7億円と、15年1年間の3割にとどまっている。
6月の英国のEU離脱、8月につけた1ドル90円台の円高により、外国人投資家の勢いが消えた。
ただ、大阪や札幌の300~500万円の物件は以前と変わらないペースで販売されている。
小林一弘社長は「民泊法制化後には、高収益物件は海外に販売できると考えている。区分マンションよりはアパートや戸建が中心となるだろう。民泊で収益率を15%程度確保できれば、海外投資家にはかなりの数を販売できる」と期待を寄せる。

《アナリスト解説》


ニッセイ基礎研究所(東京都千代田区) 増宮守主任研究員

外資ファンドがリーマン・ショック後に安値で購入した日本不動産を売却している。
さらに、外国人投資家の保有率が高かった湾岸や豊洲エリアのタワーマンションに売りが出ている。
北海道のニセコなど一部のリゾート地の人気は根強いままだ。
今後は国内でも成長性のある観光事業に関する不動産には買いが入るかもしれない。


一般財団法人 日本不動産研究所(東京都港区) 吉野薫研究員

今は世界的に不動産取引が頭打ちだ。
日本の不動産については、外国の機関投資家による取引は15年後半から減っている。
高値掴みをしないよう様子見をしている。
今後、国内の不動産に買いが入るとしたら、政府が日本成長のストーリーを分かりやすく発信し、投資先としての価値を認めてもらうしかない。

(全国賃貸住宅新聞様より引用)